103万円の壁だけじゃない…国民民主「トリガー条項」発動で生活への恩恵は ガソリン価格の「約4割が税金」
政府が閣議決定した新たな経済対策に、国民民主党の選挙公約だった2つの減税策が盛り込まれた。ひとつは一躍トレンドワードとなった「103万円の壁撤廃」で、もうひとつが「ガソリン減税」だ。 【写真を見る】サンタやバニーにチャイナドレス ねっとりな関西弁も…玉木代表が溺れたお相手のグラドル時代 *** ※この記事は一部を『帝国データバンクの経済に強くなる数字の読み方』(三笠書房)を参考に作成しています。
地方在住者にとっては死活問題
ある日の都内のガソリンスタンドでの光景――。 給油に訪れたのは国立市在住の40代男性。普段、都心の職場まで電車通勤をしている。だが、週末の買い物や子どもの塾の送り迎えには車が欠かせないという。 「日常的に車を使っているわけではありませんが、それでも月に1回ぐらいはガソリンスタンドで“レギュラー満タン”にしています。今は1リットルがだいたい170円ぐらい。1回の給油で50リットルぐらいは入るので、8000~9000円ぐらいかかります。地味に痛い出費ですね」 これが地方になると、事情はさらに深刻に。 ガソリンスタンドのレギュラー価格を見て、「やれやれ」といった風に首を振るのは、滋賀県内に暮らす50代男性。 「毎日の出勤もそうですが、このあたりは移動するのに車は欠かせません。移動が多い時だと週に2回はスタンドに行くので、月10万円ぐらいは燃料代に消えてしまう。燃料の高騰は本当に悩みの種ですよ」 特に地方在住者にとって、「ガソリン価格の高騰」は「103万円の壁」以上に日常生活で意識されやすい問題となっている。 これが“分かりやすい争点”となったことが、国民民主が衆院選で支持を集めた一因とも言われている。
いつの間にか使い道が変わっていたガソリン税
「ガソリン減税」については、衆院選の以前より、国民民主党の玉木雄一郎代表が与党に「トリガー条項」の発動を求めてきた経緯がある。2023年の補正予算案においては、この「トリガー条項」発動の協議を巡り、国民民主党が予算案の「賛成」から「反対」に転じる場面も見られた。 この「トリガー条項」とは何なのか――? 「トリガー条項とは、ガソリンの平均小売価格が3カ月連続で1リットル160円を超えた場合、自動的にガソリン税が“本則税率”のみに引き下げられる仕組みのことです」 そう解説するのは、帝国データバンク情報統括部の藤本直弘氏だ。 「本則税率」とは揮発油税と地方揮発油税のことで、ガソリン価格に関わらず1リットルあたり28.7円かけられている。それとは別に「暫定税率」として、こちらもガソリン価格とは関係なく固定で25.1円が課せられている。またそれとは別に「石油税」として2.8円が課せられており、こちらの内訳は石油石炭税と地球温暖化対策税となっている。 「ガソリン税の暫定税率は、もとは1974年に道路特定財源として全国に道を作り続けるための財源として設置されました。ただいつまで“暫定”で続けるのかという議論になり2010年に廃止に。しかしその後、同額の25.1円が“特例税率”として新設され、今は特定の使い道を定めない一般財源に充てられています」(藤本氏) さらに、ここに消費税が上乗せになる。消費税はガソリンの「本体価格」だけでなく、2つのガソリン税と石油税を合わせた総額に対し10%課税されており、「典型的な二重課税」として批判されることも多い。 1リットル170円のガソリン価格のうち、約4割を税金が占めることになる――。