「あぶデカ」舘ひろし、なぜいつまでもカッコいいのか 貫く孤高のダンディズム
■石原軍団の伝統継ぐ
そんな孤高のダンディズムを貫く舘ひろし氏が、初めて人生を変えるほど影響を受けた人物が石原裕次郎氏と渡哲也氏である。特に渡哲也氏と出会ったことが現在の俳優、舘ひろしを作ったといっても過言ではない。男が男に惚(ほ)れるとはまさにこのこと。解散した石原軍団の伝統を継ぐかのように能登半島地震の時には輪島市の避難所に作業着姿で真っ先に訪れて炊き出しを行うなど、なんとも素敵(すてき)ではないか。 余談だが以前に元石原軍団で『西部警察』にも出演していた苅谷俊介氏を取材した時に、「芸能界で一番喧嘩(けんか)が強いのは渡哲也さんの弟の渡瀬恒彦さんですよね」と尋ねたら、「本当に喧嘩が強いのはお兄ちゃんだよ。撮影の合間にしょっちゅう空手の組手の相手をさせられたよ」と教えてもらった。 ちなみに神奈川の山里で半農生活をしている苅谷氏の家には舘氏も訪れることがあるそうで、「たっちゃん(舘ひろし)はいつもお洒落な格好で来るんで服が汚れるからダメだよって言ってるんだよ」とのこと。お洒落な舘氏ならではのエピソードである。 話題の新作映画『帰ってきた あぶない刑事』で久々に見せるあぶデカスーツスタイルや、4月スタートのフジテレビ系の新ドラマ『ブルーモーメント』では山下智久の上司としてスリーピースを着こなして防災担当大臣を演じるなど、役者としてもいい感じに貫禄がついてきて、ますますイケオジな舘ひろし。ここはぜひとも、かつて渡哲也氏が演じた「浮浪雲」を今の舘ひろし氏に演じてもらいたいと切に希望します。 文:いであつし
いであつし
ライター、コラムニスト。1961年静岡生まれ。コピーライターとしてパルコ、西武などの広告を手掛ける。雑誌「ポパイ」にエディターとして参加。大のアメカジ通として知られメンズファッション誌、TV誌、新聞などで執筆。「Begin(ビギン)」、「LaLa Begin(ララビギン)」などで連載コラムを持つ。 ※この記事は「THE NIKKEI MAGAZINE」の記事を再構成して配信しています。