〈オウム真理教は死なず〉公安調査庁がSNSで異例の注意喚起…担当者が語るその理由「当時を知らない若者たちがオウム真理教のターゲットに…依然として麻原彰晃の影響下にある」
当時を知らない若者がオウム真理教に入信?
公安といえば、アニメ『名探偵コナン』の安室透が公安に所属することで有名だが、彼は公安警察であり、公安調査官とはまた違う。公安調査庁は法務省の外局で、公安警察は警察庁警備局が統括する組織の一つなのだ。 さて話を戻し、なぜ今このタイミングで、公安調査庁がオウム真理教特集を企画したのか。 「本年6月27日は松本サリン事件が発生してから30年、来年3月20日は地下鉄サリン事件が発生してから30年と、節目の年となります。いわゆるオウム真理教が現状においても一定の危険性を有している一方で、未曽有のテロ事件である両サリン事件から30年が経過し、“オウムを知らない世代”が増えつつある現状に鑑み、いわゆるオウム真理教の問題を風化させず、その危険性をしっかりと理解してもらうための広報が必要であると考え、今回の企画を発案しました」 実は現在、後継の主要3団体「Aleph(アレフ)」「山田らの集団」「ひかりの輪」は、オウム真理教を知らない世代をターゲットにして勧誘活動をして、毎年、新規の構成員を獲得。団体が過去10年間に報告した新規構成員の年代は、20~30代が全体の7割以上を占め、年に100人以上が入会した年もあるという。 また、新規構成員の中には、勧誘を受ける前から自発的に入会を希望する者はほとんどいない。Alephが展開する勧誘活動は、対象者が入会の意思を示さない場合、強い口調で詰め寄るなどして、断りづらい精神状態や環境に追い込んで入会させる事例も存在する。 これらの団体に入会してしまうと、どんな被害を受けることになるのか。 「Alephは入会者に対して、毎日の来道(道場に通うこと)や修行、麻原彰晃への帰依を指導しているほか、インターネットやテレビ、新聞などから得られる情報を遮断させています。出家した構成員を管理下の施設に集団居住させて、一般社会と融和しない独自の閉鎖社会を構築しているのです」 Alephおよび、山田らの集団は、施設内に麻原の写真を掲示したり、麻原の発言を収載した教材等を用いた活動を行なったりするなど、麻原に対する絶対的帰依を示している。また、ひかりの輪は、麻原を投影した仏画を施設内に掲示しているほか、年3回の「集中セミナー」(1月、5月、8月)などにおいて、麻原が行なった活動の基礎的ないし本質的部分を維持したカリキュラムを実践しているという。 さらに精神的な支配だけではなく、金銭面でも被害が発生している。
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