ドイツ次期首相有力候補のメルツ氏、債務ブレーキの改革に前向き
(ブルームバーグ): ドイツの主要野党、キリスト教民主同盟・社会同盟(CDU・CSU)の首相候補であるメルツCDU党首は、同国の厳格な債務制限の改革に前向きな姿勢を示した。追加債務による資金が投資に使われることが条件だと示唆した。
CDU・CSUは過去にはいわゆる債務ブレーキの堅持を政策の柱としていただけに、メルツ氏の発言は党の方針転換を意味する。
メルツ氏は13日、南ドイツ新聞主催の企業会合で「当然、改革は可能だ。問題になるのは、理由とその目的だ」と述べた。
債務規則を変更する場合には、具体的な条件を付け加える必要があるだろうと、メルツ氏は論じた。この主張は、来年2月23日の実施が見込まれる総選挙の後で、ショルツ首相の社会民主党(SPD)や緑の党に連立を働き掛ける場合の交渉を進めやすくする可能性がある。
「債務を増やして消費や社会政策への支出を増やすというのなら、答えは『ノー』だ」とメルツ氏はくぎを刺しつつ、「投資や成長、子供たちの生活に重要だというなら、答えは違うかもしれない」と語った。
ショルツ首相は、現在の形での債務ブレーキはロシアのウクライナ侵攻や老朽化するインフラ、世界的な影響などに対応する政府の能力を縛っていると述べていた。
債務ブレーキは構造的財政赤字が国内総生産(GDP)の0.35%を超えてはならないと憲法で定めている。ただ、国家的な緊急事態やリセッション(景気後退)時の借り入れ拡大は例外として認めている。
原題:Merz Opens Door to Reform Germany’s Strict Borrowing Limits(抜粋)
(c)2024 Bloomberg L.P.
Michael Nienaber