「マンションでは無視されても挨拶はするの!大事だから!」と言い張る妻を「強烈人格者」と思う夫の僕は間違っていますか? マンション内での挨拶はそんなに大事ですか?
ママ友って必要?
芸能人同士の「挨拶を無視された」という暴露が大きな話題となるのはなぜだろう。思い起こせば、小倉優子さんが幼児教室のママ友に挨拶を無視し続けられたものの、3年間諦めずに挨拶をし続けた、というエピソードをテレビ番組で披露したことも以前話題になった。 この記事の他の画像を見る 危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は「挨拶」の重要性と注意点についてこう指摘する。 「『挨拶』は人間関係を円滑にしたり、コミュニケーションの質を高めたりして『心理的安全性』を向上させるとも言われています。 しかし、ご近所・職場やお子さんの送迎現場などでは、挨拶をする人としない人が混在しており、『自分はしたいけど無視されるからイヤだな』と思う場面もありますよね。 挨拶を交わし合えば心が和むとわかっていても、人それぞれその時々の気分や状況もあり、なかなか思うようなコミュニケーションを図れないのが現実です。無理のない範囲で気持ち良い挨拶ができたらいいですよね」 地域のご近所づきあいについて取材するなかで、「妻が迷惑な『挨拶オバさん』になっているような気がする」と話す男性に出会った。一体どういうことなのか。取材内容を記事にまとめた。 「妻は自分では違うと言いますが、なかなかの優等生タイプです。挨拶は社会生活の基本だし、子供が見ている手前、近所の人とか学校関係者とかには絶対に愛想よく挨拶しなくちゃ、と思い込んでいます。本当に善意だけでしてるならいいけど、妻には裏の顔があるんですよね」 こう話すのは41歳の森本康繁さん(仮名)。小学生と保育園児を妻とともに育てる会社員だ。お住まいは首都圏の某市郊外にある12階建ての分譲マンションだという。 「80戸ほどあるマンションで、全戸ファミリータイプなので住民はたくさんいます。で、私たち家族は毎朝4人一緒に家を出るんですが、その時間帯には複数の住民と顔を合わせることになるんですね」
妻は、朝から出会ったマンション住民一人一人に対して挨拶を欠かさない。 「いや、いいんですよ。挨拶自体が悪いとは言いません。でも、『この人100パー挨拶しないよね』って相手、いるじゃないですか。何回かすれ違ってシカトされたら、顔覚えますよね」 挨拶をされてイヤな人はいない、とはよく言われることだが、確かに挨拶を投げても無反応な人はいるものだ。 「私の場合は、こっちから挨拶したときに無視した相手には、顔さえ覚えれば次からはしません。なんで挨拶を無視するような奴にこっちからご機嫌取りみたいなマネしなくちゃいけないかわかんないし、相手は『挨拶したくないですよ』って意思表示してくれてるわけですからね」 康繁さんはそう思うが、妻の考えは180度違うらしい。 「妻は『私が大事にしてるのは、相手が挨拶を返してくれるかどうかじゃない。自分が気持ち良く過ごすために挨拶するのよ』と言うんです。ま、それは模範解答かもですが、ホントかよ、と思う。偽善的じゃないですか?」 康繁さんは、妻があくまで建て前で物を言っていると感じるし、子供たちへの影響の大きさも痛感している。 「うちの子たちは妻のしつけのお陰で、挨拶することが正義だと思っていて、しない人を『マナーを守れない悪い人』と決めつけ、通り過ぎたあと悪口を言います」 無視されようと、自分が気持ちいいから挨拶をする、と言っているわりには、しない人を「悪人」呼ばわりする妻や子供たちの二面性が怖い、と康繁さん。 「耳が遠いおじいさんに挨拶を無視されたとき、子供はあとで舌打ちしたりすることがあります。僕が叱ると『大人のくせに挨拶もできない』と批判します。聞こえなかったかもしれないと思わないのか?と叱るんですが、自分が正義だと思い込んでいます」 康繁さんは、子供たちが妻に影響され、「挨拶をする人がいい人、しない人は悪い人」と決めつけていることに危機感を覚えている。 「妻と話していると、僕が『見返りのない挨拶はしないイヤな奴』みたいになるのがイヤですね。だいたい、挨拶を無視されて喜ぶ人はいないわけで、妻だって挨拶を返されなかったら悲しかったり腹立ったりしてるはず。 無視されても平気なんて嘘ですよ。まさに、それを裏付けるような出来事があったんです」 妻の極端な「挨拶励行体質」はモラハラか?そしてその影響をもろに受けて育った子供の言動に違和感を覚える康繁さんだが、ある日、子供の保育園で妻がトラブルに巻き込まれていることを知ったという。挨拶を進んで行う「人格者」風な妻が起こした人間関係のトラブルとは? 後編に続く。 PHOTO:Getty Images 取材/文 中小林亜紀