特製「ヤマメ寿司」を奉納 静岡・諏訪神社で祭り
静岡市葵区田代の諏訪神社で26日、静岡県指定無形文化財の神事「ヤマメ祭り」が執り行われ、神職が特製の「ヤマメ寿司(ずし)」を神前に奉納した。 江戸時代後期から続くとされ、山村の文化を色濃く残す民俗行事。地元では例祭日にちなみ「二十六夜さん」とも呼ばれる。特殊神饌(しんせん)として塩漬けにしたヤマメ(アマゴ)に穀物のサカアワを詰めて作られた「ヤマメ寿司」が供えられる。
祭りの本格的な準備が始まった20日に、当番の氏子ら8人が普段は禁漁区となっている同区田代の明神谷へと分け入り、川で釣り上げたアマゴを使った儀式「魚釣り祭り」を行った。儀式後、持ち帰った魚はイタドリの葉とともに塩漬けにして保存。祭事前日の25日には、焼き畑で栽培したサカアワを炊き、それを魚の腹や口などに詰め込みヤマメ寿司を完成させた。
26日の諏訪神社例祭では、4年に1度の「神輿渡御(みこしとぎょ)」が挙行され、神職と日本神話の神「猿田彦(さるたひこ)」を先頭に氏子たち約50人が神輿とともに集落をゆっくりと巡った。夕刻になると同神社の滝浪宏文宮司(53)が暗い社の中へ静かに入り、神前にヤマメ寿司を供えた。寿司は27日の例大祭終了後に氏子に配布され、各家庭で茶漬けなどにして食されるという。