自民党モータースポーツ振興議連の総会が今年も実施。各レース団体が最新施策を報告……「五輪競技に」「メカニック目指す高校生に体験の機会を」などの声も
フォーミュラE東京ePrix、F1日本GPと、世界選手権イベントの国内開催が迫った3月26日、自由民主党本部で自由民主党モータースポーツ振興議員連盟の総会が行なわれた。毎年恒例となっているこの総会には、議連のメンバーや関係省庁に加え、多くのレース関係者が出席した。 【写真】新トレッドパターンのウエットタイヤも続々目撃! スーパーGT富士公式テスト:フォトギャラリー 国内レースカテゴリーからは、スーパーGTのプロモーターであるGTアソシエイションから坂東正明代表と、同シリーズのGT300チャンピオンである吉田広樹、そしてスーパーフォーミュラからは主催団体の日本レースプロモーションの上野禎久社長と3度のシリーズチャンピオンを誇る山本尚貴が出席。その他、日本モーターサイクルスポーツ協会、ラリージャパン実行委員会、JRCA、インタープロトモータースポーツなども出席した他、さらにはフォーミュラEオペレーションズから東京プロジェクト・ディレクターのジェマ・ロウラ・セラも姿を見せ、目前に迫った大会をPRした。 まずは議連の会長である古屋圭司議員が挨拶。モータースポーツ文化の醸成に向けて思いを口にした他、未だ成立には至っていないモータースポーツの振興に関する法案についても、近々に成立ができるであろうと手応えを口にした。 その後は各団体からの活動報告に移った。豊田市が主催するラリージャパンからは、実行委員長である太田稔彦市長から、50万人超の観客(内有料観客が9万人)を集め、100億円を超える経済効果があったことなどが報告された。また、FIA環境認証プログラムで三つ星を獲得するなど、環境に配慮された大会であったこともアピールされた。 スーパーGTに関してはGTAの坂東代表から、今季からタイヤの持ち込みセット数をさらに削減し、新たな予選方式を導入することや、既にGT500クラスでは導入されているカーボンニュートラル燃料を、GT300クラスでも再生可能原料比率50%という形で導入することなどを説明。議連の幹事長である三原じゅんこ議員も、タイヤセット数削減と新たな予選方式に触れ「批判もあるのかもしれないが、新たな取り組みをしているGTAさんに感謝を申し上げたいですし、応援をしていきたい」と述べた。 スーパーフォーミュラにおいては、昨年の事故で首に大きな怪我を負いながらも、見事復活を果たして開幕戦で3位に入った山本尚貴が挨拶。自らのレースキャリア、そして命を繋ぎ止めてくれた人たちへの感謝を述べ、今後はドライバー、オフィシャル、ファンなどの安全を確保することにも尽力していきたいと語った。そしてJRPの上野社長も様々な施策を紹介し、女性ドライバーとして一般メディアにも大々的に取り上げられるJujuの存在にも触れつつ「今を好機と捉えて、ファンを増やしていきたい」と意気込んだ。 またインタープロトや女性レースシリーズのKYOJO CUPを開催するインタープロトモータースポーツの関谷正徳代表は、「女性の活躍なしにモータースポーツの発展はない」として、女性ドライバーのアスリートとしての価値を上げていきたいと語った。さらに、「女性ドライバーによる世界一決定戦を日本で開催したい」という目標を明らかにした他、「運転技術(を競うモータースポーツ)をオリンピック競技にしていく」ことも、モータースポーツ発展には欠かせないだろうと述べた。 女性の活躍については、かつて自身もレーシングドライバーとして活躍した三原議員も言及。フォーミュラトヨタ時代には、ドライバー、メカニック、エンジニアも全て女性という“レディーストムス”というチームを立ち上げたことを引き合いに出し、「女性にも優秀な方がたくさんいますので、その方達の活躍の場を作っていくことが大切」とした。 その他、総会に参加した議員からも様々な意見が挙がった。自動車整備士の専門学校の学校長を務めたことがあるという赤池誠章議員からは、モータースポーツにも欠かせないメカニックの成り手が少なくなっている現状が指摘され、「工業高校などで自動車について学んでいる高校生にも、モータースポーツを体験する機会を与えて欲しい」と提言。これについては古屋会長も自らマイクを取り「これは主催者側も積極的に協力していかないとできない。そういったことに取り組むことで、モータースポーツ(の発展)だけでなく交通安全にも繋がるので、関係省庁と連携を密にして、ぜひやってほしい。会長としても要請をいたします」と話した。
戎井健一郎
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