福島県須賀川市の病院勤務の安藤さん 精神障害者対象のソーシャルバスケ普及へ 社会とつながり実感 国際大会実現
福島県須賀川市の寿泉堂松南病院で勤務する精神保健福祉士安藤俊輔さん(43)は、精神障害者を主な対象とした「ソーシャルバスケットボール」の普及に力を注いでいる。競技を通して選手が社会とのつながりを実感するとともに、自信を育みたい考えだ。12月7日には台湾で開かれる初の国際大会に、福島県選手2人を含む日本代表のコーチとして同行する。 安藤さんは市内出身。地元の中高でバスケットボールに親しみ、進学先の関西で就職した。障害者スポーツの可能性を感じ、京都府でソーシャルバスケットボールチームを設立。その後、古里に戻り、2018(平成30)年に県内唯一のクラブ「福島Dreams」を発足させた。チーム名には「みんなの夢をかなえる、集める」との思いを込めた。一からのチーム立ち上げや、運営には苦労したが、福祉の世界で仕事をする中で身に付けた「無いのならば自分で作る」という感覚で奔走した。選手らの楽しむ姿が原動力となった。
安藤さんによると、精神障害者は以前できたことができなくなる喪失体験をしている場合が多い。自信を回復し、社会とのつながりを実感してもらうのを目標に、2年ほどかけ「夢」の一つとして世界の舞台を用意した。 安藤さんはNPO法人日本ソーシャルバスケットボール協会の副会長を務めている。協会の役員らとともに台湾や韓国の関係者と話し合い、国際試合を実現させた。「アジアカップ2024in台湾」と題し、台北市で開催する。日本と台湾の代表チームが試合を繰り広げる。 14日、「福島Dreams」の練習が須賀川市民スポーツ会館で行われた。日本代表に選ばれた古殿町の矢内寛樹さん(35)らが汗を流した。矢内さんは「程度は違えど、それぞれつらい思いをしているはず。共通して取り組んでいるバスケを楽しみたい」と笑顔を見せた。 安藤さんは「競技を楽しめる場をもっと増やし、誰もが夢を持って人生を歩める環境をつくりたい。国際大会をきっかけに精神障害への理解も広がればうれしい」と意気込んだ。
参加や運営協力を募っている。問い合わせは安藤さん メールfksm-md-bc@yahoo.co.jp ※ソーシャルバスケットボール 統合失調症やうつ病、パニック障害などの精神障害や発達障害がある選手がプレーする男女混合のバスケットボール。試合時間が短いなどルールに工夫がある。福祉・医療従事者らが加わり、一般のチームに参加が困難な選手が安心できる環境を整えている場合もある。国内では15チームほどが活動中。2011(平成23)年に全日本組織が立ち上がり、全国大会を開いてきた。体験会などを通し裾野を広げている。