がんの4割がアルコール消費と関係? 米国がん協会の新たな研究結果に騒然(シェリーめぐみ)
【ニューヨークからお届けします】 酒は百薬の長という言い方もありますが、米国がん学会が「がんの4割がアルコール消費と関係している」という研究結果を発表し、波紋を呼んでいます。 酒を飲む人、少し飲む人、飲まない人…認知症になりにくいのは? 研究では、全てのがん症例の4割が「変更可能な危険因子」に関連していると推定。変更可能、つまり私たちが自分自身で変えることができる危険因子のことですが、その中でもアルコール消費は最も顕著なものだといいます。 中でも頭や首のがん、食道がん、肝臓がん、結腸・直腸がん、乳がん、胃がんがアルコール摂取と関連しています。西洋ではこうしたがん診断の20件に1件がアルコール摂取によるものだといいます。 また成人初期および中期で頻繁にまたは定期的に飲酒した人は、高齢になってから結腸・直腸がんのリスクが高くなるという調査結果もあります。 筆者も含めお酒好きな人には頭が痛い内容ですが、むしろこれを前向きに捉えてほしいと米国がん学会はコメントしています。というのも、危険因子としてのアルコールは、消費が多ければ多いほど危険度が上がる、つまり量を減らせばいいということになります。 とはいえつい飲み過ぎてしまうという人は、アルコールが人の体にもたらす影響を科学的に知った方がいいかもしれません。アルコールは体内でアセトアルデヒドという物資に分解されますが、この物質が細胞内のDNAを損傷することがあります。つまりアルコールがDNAを書き換え、突然変異によりがんを引き起こす可能性があるというのです。 アルコールは栄養の吸収を損ない、ホルモンのレベルを変化させ、その結果有害な化学物質が口や喉の細胞に侵入しやすくなることもあります。腸内のバクテリアに悪い影響を与えることもあるそうです。さらに飲酒に運動不足や肥満が加わると、リスクがさらに高まるとしています。 だからといってお酒を全てやめろというわけでなく、一人一人が科学的な情報に基づいて意思決定し、節度やマインドフルネスを大切にお酒を楽しんでほしいと、研究者は呼びかけています。 (シェリーめぐみ/ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家)