リニューアルオープンする別府ラクテンチの演芸場＝別府市

　大分県別府市の別府ラクテンチ（西貴之社長）は開園95周年に合わせ、園内の演芸場（地上3階、地下3階・延べ約2千平方メートル）をリニューアルした。別府観光の父・油屋熊八の生涯とラクテンチの歴史を紹介するミュージアムを新しく整備。「開園記念日」の21日にオープンし、園の名称を「別府ケーブルラクテンチ」に変更する。 　ラクテンチは1929年9月に開園した。演芸場（300席）で繰り広げられる歌劇団や芸人による公演は人気を集め、ピーク時の50～60年代には常に満席だったという。西石油グループが経営権を取得して以降は一部を食堂として活用していた時期もあったが、現在は閉鎖していた。 　開園95周年に向け、演芸場のリニューアルプロジェクトに昨年から着手。別府観光の歴史を紹介する場所をつくる構想に、平野資料館（平野芳弘館長）が協力した。 　新しくなった演芸場の地上2、3階部分はステージと客席。ステージを改修し、音響や照明設備を入れ替えた。今後は劇団の公演やアーティストの発表会を定期的に開催する。

地下1階には油屋熊八に関する写真や私物など約150点が展示されている

　地下1、2階には油屋熊八や同園について学べるミュージアムを備えた。地下1階に平野さん（73）が50年前から集めてきた熊八に関する写真や書籍、洋服やそろばんなど約150点を展示。熊八が創業した亀の井自動車（現・亀の井バス）のバスガイドの歴代の制服を並べている。 　地下2階は開園から現在までを紹介するゾーン。目玉は全長9メートルのスクリーンで楽しめるスライドショーで、ミュージアムの新設に合わせて社内外から集めた写真や映像を常時流す。この他、パネル展示、動画もある。

展示の中には油屋熊八が創業した亀の井自動車（現・亀の井バス）のバスガイドの歴代の制服もある

　ミュージアムの館長は平野さんが務める。21日に園内で記念式典を開き、長年市民から親しまれた愛称「別府ケーブルラクテンチ」へと変更する。 　西社長（43）は「別府観光の歴史を後世に伝えられる場所を目指す。子どもから大人までどんな人にとっても学びのある施設にしたい」と話した。