「名投手コナン」とマーガード センバツ、沖縄出身の投手に注目
第94回選抜高校野球大会は24日までに1回戦を終え、出場32校全てが甲子園の土を踏んだ。「流しのブルペンキャッチャー」の異名を持ち、アマチュア球界に詳しいフリーライターの安倍昌彦さん(66)に今大会の印象を聞くと、沖縄出身の投手の名前が挙がった。【岸本悠】 「残念ながら、新型コロナウイルス流行拡大の影響による実戦練習不足のため、『野球勘』が不十分。フライ処理や走塁のミスが多いところに表れています」。そう嘆く安倍さん。だが、光るプレーのあった選手も数多くいた。 強烈なインパクトを残しているのは浦和学院(埼玉)の宮城誇南(こなん)投手(3年)だろう。開幕試合だった1回戦の大分舞鶴戦はいきなり完封。2回戦の和歌山東戦も7回無失点で、奪三振は計23個を数える。注目すべきはそのフォームだという。「肩が開くことがない。打者の立場で言えば、腕の軌道が見えないところから突然球が出てくる感覚。非常に対応しにくいはずです」と安倍さんは指摘する。 エピソードもほほえましい。南の島で生まれたことを誇りに思ってほしいとつけられた名前は「誇南」。人気漫画の「名探偵コナン」にちなんで「名投手コナン」の愛称もすっかり定着した。2回戦後のテレビインタビューで、そのことに触れられると「ちょっと恥ずかしいです」と、堂々たるマウンドさばきとは対照的に、照れてみせた。 安倍さんが急成長したと感じるのは、宮城投手と同じく沖縄から本州にやってきた、星稜(石川)の右腕・マーガード真偉輝キアン投手(3年)だ。米国出身の父を持つマーガード投手は、初戦の天理(奈良)戦では先発登板し、八回途中2失点と奮闘した。昨秋は変化球の種類こそ多かったが精度が今一つ。それが「カットボールを際どいところで出し入れする制球、投球術は素晴らしかった」と安倍さんがたたえるまでの好投手になった。 野手では、長距離砲として注目を集めていた花巻東(岩手)の佐々木麟太郎一塁手(2年)が無安打のまま、初戦敗退で姿を消した。わずか1年で高校通算56本塁打を放っており、あと1本で高校の先輩にあたる大谷翔平(米大リーグ・エンゼルス)を超えることもあり、本塁打が期待されたがかなわず。安倍さんは「完全に力みすぎ。構える時にバットが揺れたままで、トップが作れていませんでした」と残念がる。 一方で、一、二塁間の打球への反応など、むしろ守備面での非凡さを感じたという。「今後は、あえて二塁や三塁を守らせてはどうでしょうか。スローイングにせよ、守備時の体の使い方にせよ、学びがある。将来は打撃だけでなく、守りもうまい大型内野手になる可能性が広がります」と期待を込めた。 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。