これがルノー・キャトルって……全然違うじゃん! 一見似ても似つかないけどプロの目でみたらちゃんと「キャトル」していた!!
パリモーターショーで新型ルノー4が公開された
10月14日から20日まで開催されたパリモーターショー2024では、EVをはじめとした次世代技術の提案はもちろん、デザインの新たな試みも数多く見られました。そんななかから今回は、1960年代の名車をオマージュしたルノー4 E-Tech Electricのスタイリングを取り上げてみたいと思います。 【画像】ルノー4 E-Tech Electricのインテリアの画像などを見る
●現代的プロポーションに施された伝統表現
1950年代の人気車であったシトロエン2CVを徹底研究、1961年に送り出したルノー4は、その後800万台超の販売を記録するヒット作となりました。このアイコン的な存在を現代に蘇らせたのが、ルノー4 E-Tech Electricです。では、同社が伝統とモダンの融合と謳うスタイリングの魅力はどこにあるのでしょうか? まずはプロポーション。4.14mの全長はルーテシアとキャプチャーのちょうど中間あたり。オリジナルは垂直に近いリヤハッチにより、やや後ろに重心を感じる独特のシルエットでしたが、新型は緩やかなハッチで安定感のある佇まいに。さらに、厚みのあるボディと薄いキャビン、大径タイヤの組み合わせはじつに現代的です。 フロントは上下の分厚さが特徴ですが、その上部に置かれた水平基調のグリルがオリジナルを彷彿させるところ。すでに生産中止となったHonda eも近い表現でしたが、1960~80年代のグリルの再構成としては有効な手法です。 サイドビューも見所満載。サイドウインドウでは6ライト風の台形リヤガラスがオリジナルを巧く再現しています。一方で、A、Bピラーは現代風にブラックアウトされていますが、これがオリジナルのようにボディ色だったらどうなったかな? という興味は残ります。
●オリジナルを生かしつつ流行商品に昇華させる
次はサイドパネルの表情。左右のボンネットラインがフロントまでぐるりと回り込んでいるのがオリジナルの特徴ですが、新型はこの形状も再現。今回のショーでは、ブラックとオレンジメタリックのツートーン版の写真も公開されていますが、その塗りわけがまさにこのラインに沿っているのです。 3本の水平ラインは、オリジナルの樹脂プロテクターからインスパイアされたものとか。たとえば、かつての日産のパイクカーであるパオがそうであったように、こうした表現は適度な道具感を与えることができ、ルノー4の現代版としては的確な手法です。 また、オリジナルはドアハンドル下を走る強いキャラクターラインが特徴で、新型はこれも再現しているのですが、もっと弱く、ドア面の「折り」を作っている程度。このあたりも現代的な造形といえそうです。 細かいところでは、フロントフェンダーに置かれた充電口に施される斜めのラインもオリジナルの切り込み線を再現したものかと。さらに、3分割されたLEDのテールランプもオリジナルのオマージュで、シンプルなリヤパネルにアクセントを与えています。 さて、最近のルノーは5(サンク)やトゥインゴなど、往年のヒット作の復活プロジェクトが目立ちますが、単にそれっぽく似せるのではなく、それぞれに商品性を持たせている点がユニークだと思えます。 このルノー4 E-Tech Electricでは、オリジナルの道具感を引き出しつつ、ホイールアーチのプロテクターや大径タイヤなど、最近流行のコンパクトSUVとしてまとめているのが巧いところです。 市販は2025年の予定ですが、ほぼこのままの姿での登場を期待したいですね。
すぎもと たかよし