美術で伝える敦賀の豊かさ ゆかり絵師の作品53点展示
福井県敦賀市立博物館の冬季企画展「行き交う人々、交わる文化―みなとまち敦賀の美」が1月13日まで開かれている。主に江戸時代後期から明治期にかけて活躍した敦賀ゆかりの絵師たちの作品53点を展示。海陸交通の要衝として栄えた敦賀の豊かさを美術の視点から紹介している。 幕末明治期を代表する四条派の絵師・塩川文麟(ぶんりん)が善妙寺(敦賀市神楽町1丁目)に奉納した「釈迦如来坐像(ざぞう)」は縦横約2・5メートルの大型仏画で初公開となる。塩川が北陸と京を行き来する際、敦賀滞在時に世話していた山上宗助(やまがみそうすけ)が善妙寺の有力な檀家(だんか)で、その縁で奉納したと考えられるという。 京都の画壇で活躍した「岸派」創始者の画人「岸駒(がんく)」と、そのパトロンだった敦賀市生まれの木津成助(きづなりすけ)による合作「清水寺燈籠(とうろう)拓本」は、岸駒が得意とした虎が迫力たっぷりに描かれている。京都画壇の重鎮、鈴木松年(しょうねん)による「山姥(やまんば)図屏風(びょうぶ)」はダイナミックな筆遣いが印象的。鈴木は何度も敦賀を訪れ、豪商大和田荘兵衛や文化人らと交流しており、この屏風は真禅寺(敦賀市栄新町)に寄進された。 敦賀市立博物館の学芸員は「江戸期に『北国の都』とも称された敦賀では人や物が行き来する中で文化もはぐくまれた。絵師だけでなく、経済的な面でサポートしていた商人の存在も大きく、そうした職業の別を超えた相互作用で豊かな文化が生まれたことを展示から感じ取ってもらえれば」と話していた。 月曜(1月13日除く)と年末年始(12月29日~1月3日)が休館。入館料は一般300円、高校生以下無料。