年収770万円は「高額療養費の自己負担額限度額が17万円」の現実。安心できない医療費負担
高額療養費の支給例
次のケースで、高額療養費がいくら支給されるのか計算してみます。 ●<ケース1> ・年収500万円の会社員Aさん(40歳) ・1ヵ月の医療費80万円 自己負担限度額:8万100円+(80万円-26万7000円)×1%=8万5430円 高額療養費 ・Aさんの医療費の負担割合は3割なので実際の負担額は24万円 ・24万円-8万5430円=15万4570円 高額療養費として15万4570円が払い戻されます。 ●<ケース2> ・年収800万円の会社員Bさん(45歳) ・1ヵ月の医療費100万円(差額ベッド代20万円を含む) 自己負担限度額 ・差額ベッド代は医療費に含まないため80万円となる ・16万7400円+(80万円-55万8000円)×1%=16万9820円 高額療養費 ・Bさんの医療費の負担割合は3割なので実際の負担額は24万円 ・24万円-16万9820円=7万180円 高額療養費として7万180円が払い戻されます。 ●<ケース3> ・所得区分が一般のCさん(80歳)とDさん(75歳)夫婦 ・夫婦の1ヵ月の医療費 ・Cさんの医療費 50万円(甲病院入院) ・Dさんの医療費 ・8万円(乙病院通院) ・4万円(丙クリニック通院) 世帯合算後の自己負担額 ・CさんもDさんも自己負担割合は1割 ・5万円(Cさん)+8000円(Dさん)+4000円(Dさん)=6万2000円 世帯ごとの自己負担限度額5万7600円 高額療養費 6万2000円-5万7600円=4400円 高額療養費として4400円が払い戻されます。 ●<ケース4> ・共働きのEさん(35歳)とFさん(32歳)夫婦 ・Eさんは年収600万円でA健康保険組合に加入 ・Fさんは年収400万円でB健康保険組合に加入 ・Eさんの1ヵ月の医療費20万円(実際の負担額は6万円) ・Fさんの1ヵ月の医療費10万円(実際の負担額は3万円) 同一世帯であれば、2万1000円以上の自己負担額が複数あれば合算ができますが、EさんとFさんは別々の健康保険組合に加入しているため、同一世帯とはならず合算できません。 各々では自己負担限度額に届かないため、高額療養費の支給はありません。