“センバツ4強2度”の名将が監督に就任した明星、秋が楽しみな強豪相手の初戦敗退【24年夏の西東京大会】
<第106回全国高校野球選手権大会西東京大会:聖パウロ学園4-3明星>11日◇2回戦◇府中市民球場 【トーナメント表】夏の西東京大会 ここまでの結果 明星は、国士舘の監督としてセンバツで2回準決勝に進出するなどの実績を残している永田 昌弘が新監督に就任した。その最初の公式戦となった春季都大会の1回戦の都立雪谷戦は、初回から投手陣が崩れ、3-13の5回コールドに終わり、いかに名将といえどもチームの強化には時間がかかる。 そしてこの夏の初戦の相手は聖パウロ学園だ。シードは逃したものの春は3回戦まで進み、シード校と遜色のない力を示した。明星としては厳しい対戦になった。 結果として明星は敗れたものの、春に比べると長足の進歩を遂げ、今後の可能性を感じさせる試合になった。 永田野球の浸透を感じたのは、1回裏聖パウロ学園の攻撃だった。一死二塁から聖パウロ学園の攻撃の柱である3番の川畑 柚斗一塁手(3年)が投ゴロ。二塁走者が二、三塁間に挟まれアウトになった後、素早く転送して二塁に向かおうとしていた打者走者の川畑を一、二塁間に挟みアウトにし、この回を無失点で切り抜けた。 永田監督は国士舘の監督時代から、走者を置いてのノックをよくする。そしてワンプレーごとに、送球の意味やカバーの仕方などを選手に問う。 2年生で1番打者を務める二塁手の麦島 倖太は、「守備のことは何も考えていませんでした」と言い、永田監督から問い詰められても「圧倒されて、言われっぱなしでした」と振り返る。それでも考える習慣がつき、問われれば、自分の考えを言えるようになったという。もっともそれが正解というわけにはいかないようだが、大きな前進であることは間違いない。 1回裏に挟殺プレーで2人を続けてアウトにできたのも、1人1人が考えてプレーしていればこそである。 打っても守っても、1人1人が考えたプレーをしているからこそ、聖パウロ学園相手にも、全く互角の試合を展開した。一時は1-3とリードを許したが、5回表、明星は9番・土屋 育己外野手(3年)、1番・麦島の連打で一、三塁とし、2番・目黒 永人遊撃手(3年)の二ゴロで1点差に迫り、7回表は四球で出塁した7番・高松 優伍三塁手(3年)を2人が送って三塁に進め、1番・麦島の右前安打で同点追いついた。永田監督らしい点の取り方だ。 明星の先発・久保田 英輝(3年)も好投していたが、疲労がみえ始めた7回表、安打2本と四球で満塁となり、聖パウロ学園の中心打者である3番の川畑が四球で押し出しとなり、これが決勝点になった。 4-3で聖パウロ学園が勝ったものの明星の健闘が光る試合であった。格段の進歩を遂げた明星だが、永田監督にすれば、練習時間の制約や、グラウンドをサッカー部と共用するなど、思うようにいかない部分もあり、「まだまだスキだらけです」と語る。 それでもユニホームを着てグラウンドに出れば、若返ったような情熱を感じる。2年生としてこれからはチームを引っ張る立場になる麦島も「チームの中心としてやっていかないといけません。信頼される選手になりたいです」と語る。永田監督がどのようなチームを作るか、秋以降の戦いが注目される。