「恐れるべきは免疫力の低下」松田博公さんオンライン講演=なぜ日本は接種率世界一で感染率最多か
一方、2022年4月5日公開の研究は、COVID-19に対する自然免疫の有効性を論じる論文246件をレビューしているとし、「COVID-19に罹患した大多数の人は、細胞性免疫と体液性免疫の両方を自然免疫として獲得しており、それが、再感染と重篤な病気に対する防御を提供することが分かった」という自然免疫の重要性を指摘する研究報告があると紹介した。 「自然免疫がワクチンよりも有効なのは、自然免疫が持つ広範な非特異的免疫応答の方が守備範囲が広いことで説明できる可能性がある」とし、「わたしたちが最も恐れるべきはウイルスではなく、免疫力(自然治癒力)の低下の方」と強調した。 鍼灸師の立場から「日本の鍼灸師は、からだには病を癒す自然治癒力が宿り、鍼灸はそれを支援する医療だと語り継いできた。風邪を引いた患者さんに『熱が出てよかったですね。熱が風邪を治します。下痢も治します』と症状は治癒反応であることを伝えてきた」との伝統的な思想に回帰すべきと訴えた。
□サビアの独り言□
4時間にわたる松田博公(ひろきみ)さんの講演の最後は質疑応答となり、当地在住のブラジル人鍼灸師から「ブラジルではワクチンの安全性や有効性に疑問を呈する発言をするだけでボルソナロ派と誤解され、メディアでもそのような報道がほとんどない。その中で、今回の講演のテーマをどう活かしていけばいいのか」などの質問が寄せられた。松田さんは「ワクチンを否定するのではなく透明性のある議論をし、体が本来もつ治癒力を高めることこそが医療行為の主体だと理解してくれる患者さんを育てることが大事。患者さんとしっかり向き合い、大切な人との関係を重視して皆さんのコミュニティを広げてください」などとアドバイスし、参加者は熱心に聞き入っていた。