【#みんなのギモン】公衆トイレも「男女共用」が急増中…なぜ?
■一般的な公衆トイレも「男女共用」の流れに?
今まで見てきたような革新的なデザインなどで大変身して生まれ変わったトイレもありますが、じつは、一般的な街の公衆トイレの立て替えや改修には大きな壁が立ちはだかっています。
東京都板橋区。区内には公園トイレや公衆トイレが229か所(2023年4月現在)あり、2016年度から2025年度までの10年間で51のトイレの改修計画を策定しています。毎年、数カ所のトイレが改修されていますが、ここでポイントとなるのは、車いす利用者などが安心して使える「バリアフリー対策」です。ここに、自治体の苦悩がありました。板橋区の担当者に話を聞きました。
板橋区土木部みどりと公園課 河島一郎課長 「バリフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)があるので、東京の施設でトイレを作り変えるには、まずはバリアフリー対策をしなければなりません。バリアフリー対応の男女共用「誰でもトイレ」1基と、男性の使用頻度が高いので小便器をつけるパターンが標準的です。その上で女性専用があれば、女性が心配している防犯上の安心安全をクリアできるのですが、スペースの問題もあり大きなトイレを建てることが難しいのが現状です」
バリアフリー対策のため、広いスペースを確保しようとすると、男女別の個室を設けるのは難しく、男女共用トイレを採用するケースが多くなる、といいます。公園の公衆トイレにはさらに制約があります。
■公園トイレにはさらに制約が…
板橋区みなみ児童遊園。ブランコや砂場が設置された、どこにでもある「街の公園」です。この公園には現在、男女共用の和式便器が1つ設置されていますが、大きなトイレに建てかえることができないといいます。 実は都市公園法という法律により、「公園の敷地面積の2%を超える建築物は建てることができない」と定められているのです。この公園の敷地面積は約380 ㎡。法律で定められた「2%の制約」を当てはめると建築可能な建物の面積は7.6㎡になります。そのため8㎡の大きさのバリアフリー対応の男女共用「誰でもトイレ」と男子小便器を組み合わせた一般的なスタイルのトイレにさえも建て替えることができません。 限られた公園の面積の中で、トイレを大きくすることは非常に困難なのです。 板橋区土木部みどりと公園課 河島一郎課長 「我々の作る公衆トイレは1回作ると何十年単位で次の整備まで使っていかなければなりません。トイレの使われ方の変化は今後もあり得るでしょうから、見通せる先を見極めながら、時代に合わせてやっていく必要性があると考えます」 1か所のトイレに男性、女性、男女共用と様々なタイプが設置されるのが理想ではありますが、スペースの制約からすべて満たすトイレを設置するのは難しい、というのが実情のようです。 男女共用トイレ、皆さんはどう考えますか?