日銀の早期追加利上げ観測が浮上、銀行株再評価の動き 総資産で地銀上位「九州フィナンシャルグループ」「東和銀行」など
【今日から始める10万円株】 日銀の利上げ政策に再びスポットが当たり始めている。植田和男総裁は10月末の金融政策決定会合後の会見で、追加利上げに関して、「時間的な余裕がある」という表現を封印。時期について明言はしなかったが、これによって、12月、あるいは来年1月の会合で追加利上げに踏み切るとの見方が有力になりつつある。 銀行株は、利上げが続くことによる「利ざやビジネスの復活」という思惑を背景に、年初から夏頃まで株価上昇が続いていた。しかし、その後は早期の追加利上げ観測が遠のいたため、調整局面への突入を余儀なくされていた。 ところが、今回の植田総裁の発言によって、利ざやビジネス早期復活の芽が出てきたため、今後は銀行株を再評価する機運が高まりそうだ。もし、年末か1月の会合で利上げへの道筋が明確になれば、銀行株は2024年の高値を更新する動きになるのではないか。そこで、今回は銀行株の中から、株価再評価の余地が大きい10万円株を選別してみた。 まずは、総資産で地銀上位の「九州フィナンシャルグループ」(7180)。お膝元の熊本県に台湾TSMCの半導体工場が建設され、九州では「半導体バブル」が発生している。同行では、今後10年間の半導体関連の設備投資による熊本県での経済波及効果を11・2兆円、九州・沖縄全域では約20兆円と試算。実際、足元の貸出金は着実に伸びている。株価は今年3月の高値から半値近くまで下落したため、上値余地が大きい。6万9920円で購入可能だ(1日終値ベース、以下同じ)。 続いて、「コンコルディア・フィナンシャルグループ」(7186)。預かり資産残高、貸出残高ともに地銀トップクラスで、利ざやビジネスが復活すれば、メガバンク同様に多大な恩恵を受けるだろう。今後の反発局面では、6月の上場来高値990円の更新に期待。7万7550円で買える。 群馬県2番手の第二地銀「東和銀行」(8558)は、今期30円配予想で、予想配当利回りは5・2%と銀行株最上位。ただ、前期が記念配を合わせて35円配だったことを考えると、今期も35円へ増配される公算がある。そうなれば、高配当狙いの資金が流れ込むだろう。最低購入単価は5万7800円。 (吉田礼音)