「アメフトに求めるのは広告的価値を超える社会的価値」SEKISUIチャレンジャーズ誕生の理由とは
~アサヒ飲料は新規スポンサー決定まで十二分な猶予期間を与えてくれた
「(アサヒ飲料がスポンサーを撤退すると聞いた時は)ショックという気持ちもあったけど、『ついに来たか』」と。『何とかしないといけない』ということだけでした」 川口GMが準備した70ページにも及ぶ企画書を持ち、スポンサー探しに奔走したのがチーム事務局長・桂雄史郎氏。社会人選手権2連覇を成し遂げた当時のQBだった男だ。 「次のスポンサー探しを考えながら、アサヒ飲料への感謝の思いを強く感じました。このご時世で30年も支援するのは並大抵ではありません。会社の方針も変化していたはずなのに継続支援してくれましたから」 2019年末、チーム代表の鍜次茂氏と共に当時のオーナーと面会した際にスポンサー撤退の正式通知を受けた。 「アサヒホールディングカンパニーの総合的判断でフットボール事業から撤退するということ。うち(=チャレンジャーズ)とアサヒビール・シルバースターの両方です」 「有り難かったのは3年の猶予を与えてくれました。本来なら翌年(=2020年)からの即座撤退でもおかしくない。新規スポンサー企業を探す時間をくれました。最後の最後までチャレンジャーズに寄り添ってくれました」 「撤退通知を受けてすぐにコロナ禍に入り苦労しました。実際は2022年でアサヒ飲料は撤退する予定でしたが、そういった事情を考慮して2023年まで猶予期間を延ばしてくれました。本当に感謝しかありません」
~選手やスタッフの人生に影響を与える大問題
「チームがなくなったら彼らはどうするんだろう?積水にスポンサーが決まるまで、毎日寝る前に考えていた」と語るのはチーム代表・鍜次茂氏。 アメフトは選手、スタッフ等を含め1チーム100人を超える大所帯。仮にチーム存続ができない事態になれば競技に関われず路頭に迷う者も出るはずだ。 「(チームがなくなれば)誰もが移籍か引退を選ぶことになる。社会人になってまでプレーを続けるのだからアメフトは生きがい。彼らの人生に対して大きな影響を与えるのは間違いない」 「毎日グラウンドに来て彼らのプレーを見たい。一生懸命取り組んでいる姿勢を目に焼き付けておく責務があると思っています。絶対にフットボールを奪ってはいけない。何としてもチームを生かさないといけないと考えています」 「練習中にライン脇で代表と立ち話をしていると必ず新規スポンサーの話になった。本当に心配されていました」と川口GMは当時を振り返ってくれた。