「3強」青学大、駒大、國學院大「目標は優勝」指揮官たちの熱き“前哨戦”/箱根駅伝トークバトル
「第101回箱根駅伝トークバトル」が12月10日、東京・恵比寿ガーデンプレイスで行われた。 出場21チームのエントリー16名は?出場チーム選手名鑑をチェック! 前回優勝校の青学大・原晋監督、前回2位の駒大・藤田敦史監督、同3位でトークバトル初登場となる城西大・櫛部静二監督、2年ぶりの登場となる前回4位の東洋大・酒井俊幸e監督、同5位の國學院大・前田康弘監督が出席し、コーディネーター役を関東学生陸上競技連盟の大後栄治副会長が務めた。 まずはトークバトル恒例の「ズバリ! 今回の目標順位は?」という質問からスタート。各監督が総合の目標順位と、どんなレースにしたいかをそれぞれ手元のフリップに以下のように記入した。 青学大・原監督「(総合)優勝 (どんなレースに)攻めのレース あいたいね大作戦」 駒大・藤田監督「(総合)優勝 (どんなレースに)前回大会のリベンジ」 城西大・櫛部監督「(総合)4位(できれば3強超え)(どんなレースに)先手必勝!」 東洋大・酒井監督「(総合)4位 (どんなレースに)1秒をけずる走り」 國學院大・前田監督「(総合)優勝! (どんなレースに)粘りからの攻め」 今季の出雲駅伝と全日本大学駅伝で3位までを占めた3校の監督がそれぞれ力強く総合優勝を目標に掲げた。 青学大の原監督が「前半から主力級を並べて、攻めのレースをしていきたいです。大手町で多くの仲間と会いたい、ファンやスポンサーのみなさんと喜び合いたいといった思いから、『あいたいね大作戦』で2年連続8度目の優勝を目指します」と高らかに宣言すると、駒大・藤田監督は「前回は3冠を目指して箱根を迎えましたが、青山さんに力負けしましたので、今回はそのリベンジということで、挑戦者として思い切ったレースをしたいです」と雪辱を誓った。 初優勝と史上6校目の3冠が懸かる國學院大の前田監督は、「往路はみなさんエースを並べますから、どうなるかわかりません。私どももそこをしっかり粘り、後半勝負に持っていきたいということです。5区・平林(清澄/4年)で攻撃します」と、いきなりエースの名前を出して会場をどよめかせた。 続けて、この日エントリーされた各校のエントリーメンバー16名を見ていった。大後副会長は昨年度まで務めた監督経験から、「選ばれた16名の陰で、選ばれなかった学生もたくさんいます。監督は断腸の思いで今日、16人を選んできたと思います」と指揮官の大変さを慮った。 各校が概ね順当に主力選手を登録し、指揮官たちは随所で「○○選手は何区?」といった腹を探り合うような駆け引きを繰り広げる。駒大の藤田監督は、國學院大の平林について「私でしたら2区に使います」ときっぱり。そこには「マラソンで世界を目指している選手ですし、箱根のエースといえば2区。その2区をしっかり走って、世界に羽ばたいてほしい」とその理由を述べた。 櫛部監督は留学生ヴィクター・キムタイ(3年)の1区起用をほのめかしたが、その表情からは他の監督たちへの牽制の意味合いが強かったように見える。 続いてのテーマは、「他の4大学から引き抜きたい選手とその配置は?」。その回答によっては、各校の課題が見えてくる可能性があったが、青学大の原監督は「駒澤大学 佐藤圭汰 1区」と書いた。「エースを引き抜いて、(駒大の)戦力をダウンさせることと、(1区に置いて)我々のエンジンをターボ全開にして、よりパワフルになる。1区から独走できます」と言い切った。 それを受けて「これから世界に出ていく選手ですので、それだけ魅力的に映っているのであれば、私もうれしく思います」と語った駒大・藤田監督が書いたのは「2区 平林清澄君」。その理由として、「私も実際に勧誘した非常に魅力ある選手。私どものチームで2区に据えることができれば、佐藤圭汰(3年)や篠原倖太朗(4年)を別の区間に配置できる強みができる」と挙げた。 残りの3人は区間こそ意見が割れたが、いずれも青学大の黒田朝日(3年)を指名。東洋大の酒井監督は「オールラウンダーですけど5区でも見てみたいな、と。〝山の神〟もあり得るんじゃないでしょうか」。國學院大の前田監督は「これだけ原さんが余裕なのは、黒田君という大黒柱がいるから。どの駅伝も外していないので安定感があります」と、前回の2区区間賞獲得者を絶賛した。 他には「この区間で見たい、この2人の勝負」「勝負を分けるポイント」「うちのエースは○○だ」といったテーマで、指揮官たちがユーモアを交えながら“舌戦”を繰り広げた。そして、最後に今大会に向けた意気込みを力強く語り、トークバトルが閉幕した。 第101回箱根駅伝は来年1月2日に往路、3日に復路が行われる。12月29日に区間エントリー10人が発表され、往路、復路スタートの1時間10分前(6時50分)にメンバー変更が認められる。
小野哲史/月刊陸上競技