「この高級美顔器、効果ないじゃない」クーリングオフしようと思ったら、“対象外”だった!? 制度の意外な落とし穴【弁護士が解説】
クーリング・オフとは、いったん契約の申し込みをした場合でも一定の期間であれば無条件で契約が解除できる制度です。ただ制度の名前だけが知られていて、意外と適用されるケースについて知らない人も多いのではないでしょうか。 【写真】真っ白な髪が美しい60代モデル 「いきすぎないアンチエイジング」「おしゃれ過ぎる」と称賛の声続々 関西在住のAさんは最近、顔のしわやシミが気になりだしたため、通販で美顔器を購入しました。高価な商品だったため、すぐに効果がでることを期待して使い始めます。 説明書をしっかり確認して使い始めたAさんでしたが、1週間が経過しても顔の状態はまったく変わりません。費用の割に効果が無いと不審に思ったAさんは、販売元に連絡をしてクーリング・オフしたいと伝えました。しかし販売元の返事は冷たいもので、クーリング・オフは利用できませんと言われてしまいます。 クーリング・オフで支払った費用を取り返そうと思っていたAさんは怒り心頭。電話でその気持ちをぶつけますが、結果は変わりません。なぜAさんはクーリング・オフができなかったのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに伺いました。 ーAさんが美顔器のクーリング・オフをできなかったのはなぜですか クーリング・オフ制度は、特定商取引法(特商法)や割賦販売法などの法律で定められています。一定の期間であれば無条件で契約の申し込みを撤回したり、契約を解除したりできる制度です。 ただし、どのような販売方法・取引でもクーリング・オフができるわけではありません。今回の場合でいえば、Aさんは美顔器を通信販売で購入しています。クーリング・オフ制度は、通信販売で物品を購入した場合には適用されません。同様に店舗での買い物にもクーリング・オフは利用できません。 ークーリング・オフができる対象はどんなものなのでしょうか クーリング・オフ制度は条件が複雑で、一概にこれだったらクーリング・オフできるとは言いきれません。一般的には訪問販売や電話勧誘販売といった販売方法、エステティックや語学教室などの特定継続的役務提供、業者が自宅を訪問する訪問購入が対象となります。また連鎖販売取引や業務提供誘引販売取引もクーリング・オフの対象です。ただし、これらの販売方法・取引であってもクーリング・オフができない場合があるので注意が必要です。 ークーリング・オフができない場合はどうしたらいいでしょうか Aさんの場合、購入したときの契約内容がどうなっているかがポイントです。もし契約書の中に「効果を十分に実感できなかった場合は返品に応じる」といった文言が書かれていれば、返品を要求することができるでしょう。 一方でいかなる場合にも返品には応じないと書かれていれば、返品は難しいと思われます。ただし美顔器が故障している可能性もあるため、故障対応ができないか問い合わせてみるといいでしょう。もし先方の対応があまりにも不誠実であれば、消費者センターに相談するのも手です。いずれせよ後々揉めないために、購入時には契約書の返品条件などはしっかりと確認するようにしましょう。 ◆北村真一(きたむら・しんいち)弁護士 「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないといわれる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。 (まいどなニュース特約・長澤 芳子)
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