交通空白縮小目指す 潮来市、コミバス実証運行 団地や商業施設巡回 12月から 茨城
公共交通空白地帯の住民の移動手段を検討するため、茨城県潮来市は12月1日から2カ月間(12月30日~1月3日除く)、コミュニティーバスを実証運行する。これまで路線バスが通っていない団地と商業施設などを結ぶ巡回ルートで、1日3便運行する。運賃は無料。市は利用者のアンケートを実施し、利用状況を把握する。 市内にはJR鹿島線の潮来、延方の両駅があり、路線バスは行方と潮来両市内を巡る鹿行北浦ライン、同県鹿嶋市と同県行方市を結ぶ神宮あやめ白帆ラインが走っている。だが、市地域公共交通計画によると、「鉄道・バス交通空白地域」を、鉄道駅から1キロ、バス停から300メートル以遠と規定した場合、潮来市は人口で50%、面積で82%が該当する。 中でも急速な高齢化の進展に伴い、人口の3分の1を超える高齢者の移動手段の確保が課題となっている。市は2018年から運転免許を保有していないなどの条件を満たした満75歳以上の希望者に対し、タクシー助成券(現在は1枚900円)を48枚交付しているが、同計画によると、幅広く利用されている状況ではない。 こうしたことを踏まえ、コミュニティーバスの実証運行を実施する。バス停は市役所や市立図書館などの公的機関や商業施設に置くほか、大山団地や川尾団地など計18カ所に設置する。 運行はスクールバスの委託を受けている市内のタクシー会社が担う。スクールバスとして使われている大型バン(定員6または9人)を活用し、スクールバスとして利用されていない時間帯で運行する。 発着点はスーパー「ベイシア潮来店」(須賀南)で、行程は約30キロとなり、約1時間半で走る。1便目は午前9時、2便目は午前11時半、3便目は午後1時に出発。1、3便は同じルートで、2便目は反対ルートになる。 運行に合わせて実施するアンケートでは利用頻度やルートの選定、バス停の位置、利用しやすい運行時間帯などについて尋ねる予定だ。市は「将来の持続可能な公共交通の在り方を検討するため、どのように利用されるかしっかり見極めたい」としている。
茨城新聞社