満蒙開拓入植初期の背景は 阿智村 平和記念館で特別展【長野県】
長野県阿智村の満蒙開拓平和記念館は、旧満州(中国東北部)への開拓団入植の歴史をたどる特別展「開拓団入植地の変遷」を開いている。来年3月までに計3回に分けて展示する企画で、第1部は移民政策が始まった1932年から36年までに注目。「試験(武装)移民 開拓団はなぜ武装しなければならなかったのか」と題し、初期入植移民の背景をひもといている。 同期間には、県内や東北地方をはじめ、全国各地から計9つの開拓団が満州北部に送り出された。 解説によると、当初日本が移民用地として着目した満州北部の三江省一帯は抗日運動の一大拠点で、満州事変後も各地を支配していた軍閥の残党や日本の進出に対する反発勢力と関東軍が衝突を繰り返していた。 当時は満州全域に日本の権力が及んでおらず、地域の治安維持と旧ソ連への備えから「日本人を大勢入植させる必要があった」。土地や家を奪われた現地の人々の襲撃に備え、関東軍に協力して治安維持に当たるために武装し、移民も在郷軍人が多かったという。 三沢亜紀事務局長は「満州移民が国策になる前、満州国建国当初の軍事的な目的が一番強かった時期」と説明。「どういう戦略を持って入植したのか、どうしてその後に多くの犠牲を出すことにつながったのかを改めて見つめ直したい」と企画の趣旨を語った。 第1部の展示は21日まで。第2部「国策移民期(1937~41年)」は10月ごろ、第3部「移民崩壊期(42~45年)」は3月ごろに開催する。 開館は午前9時半~午後4時半で、毎週火曜日と第2、4水曜日は休館日。入館料は一般600円、小中高校生300円。問い合わせは同館(電話0265・43・5580)へ。