トヨタ自動車九州「EV専用ラインは考えていない」…世界的に販売失速、当面はハイブリッド車と混流生産
トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)の長木哲朗社長が25日、報道陣の取材に応じ、工場の当面の生産体制について、「EV(電気自動車)の専用ラインは考えていない」と述べた。EV市場の成長が鈍化しており、当面はハイブリッド車(HV)などと同じラインでEVを組み立てる混流生産で対応するとした。(川口尚樹) 【地図】EV電池工場の建設予定地(福岡県苅田町)
トヨタ九州は現在、「レクサス」ブランドの4車種を手掛けているが、親会社のトヨタ自動車は、レクサス全車種を2035年までにEV化する戦略を掲げる。トヨタは今年9月、EV用の電池工場を福岡県苅田町で28年に稼働させる計画も発表しており、トヨタ九州をEV生産の拠点とする方針だ。
ただ、直近では世界的にEVの販売が失速し、HVが伸びている。長木氏は「(需要動向が)大変読みにくくなった。どれだけEVを作るかは、なかなか発表できない」とし、新たな電池工場からの電池の供給も「いつの時点からかは、まったくの白紙だ」と、今後の不透明さを強調した。
トヨタ九州の駆動方式別の生産実績(23年)でも、HVが52%、ガソリン車が36%、プラグインハイブリッド車(PHV)が11%で、EVは1%にとどまり、「当面は、需要が見込まれる車種を柔軟に生産する。EVに振ることは考えていない」と説明した。
一方、エンジン製造の苅田工場(苅田町)、HV部品製造の小倉工場(北九州市)は、「レクサスがEVにシフトしても生き残る道として、エンジン車などを生産する国内外のグループ工場へ出荷する拠点にしていく」と述べた。