高齢者の定義「5歳」引き上げ案……背景に国難? 31歳「死ぬまで働くのは嫌」 提言の“真の狙い”は【#みんなのギモン】
■内閣府が調査…何歳まで働きたい?
近野解説委員 「皆さん、何歳くらいまで仕事をしたいですか?」 鈴江アナウンサー 「もう、行けるところまで…」 森アナウンサー 「私も細く長く。1週間に1回くらいだったらいいかな」 近野解説委員 「人生いろいろ、キャスターもいろいろです。定年から定年後をリアルに見据える60歳以上の男女に『何歳まで働きたいか、または働きたかったか』を聞いた内閣府の調査(2019年度)があります」 「『65歳位まで』は、男女とも約25%であまり差はありません。『70歳位まで』だと、男性が26.8%、女性が16.8%と10ポイントの差が出ました。『働けるうちはいつまでも』という鈴江さんのような人も、男性が19.6%、女性が21.5%と男女とも約2割いました」 「また、総務省によると15歳以上の働いている人全体のうち、約7人に1人は高齢者ということです」 刈川キャスター 「多いなと思う一方で、これからもっと増えていきますよね。ただ問題なのは年金などの制度がどう変わっていくのかが気になります」
■年金支給などが70歳からになれば…?
近野解説委員 「あくまでも今回の提言は、今後実現に向けて本当に進んでいくか分からないという前提ですが、専門家はその裏側に切羽詰まった事情があるとみています。それは、社会保障の若者の負担と公費負担を減らすことです。日本総合研究所の西沢和彦理事に聞きました」 「今は、年金の支給などの現役世代からの支援を受けられるのは原則として65歳から。これが仮に、高齢者の定義を変えたのに合わせて70歳からとなれば、現役世代の負担と公費の負担が減ります。西沢理事は『真の狙いはそこにあるのかもしれない』と言います」 森アナウンサー 「すると、65歳まで働いて後はゆっくりしようと思っていた方が、65~70歳は無年金になっちゃいます。そうなると話が違いますよね、となりますよね」
■誰でも安心して老後を過ごせる施策を
近野解説委員 「まさにゴールがずれちゃうということになると、当然そういう感情を抱く方は多いと思います」 「“年金支給の開始の時期をさらに後ろにする”といきなり言うことはできないですから、西沢理事は『最初の一歩として高齢者の定義をまず変える可能性もあるのではないか』とみています」 鈴江アナウンサー 「どんどん後ろになっていくのではないかと若い世代が不安に思うように、歳を重ねることの不安を払拭することって大事だと思います。言葉の定義からぬるっと払拭するのではなく、どうなっていくのかという制度の話は、きちんと丁寧にしてもらいたいですよね」 森アナウンサー 「納得したいと思います」 近野解説委員 「正面から堂々と議論していただきたいところです。働きたい人が生き生きと働ける、このこと自体は重要です。しかし、さまざまな理由で早いうちから働けない、働かないという方も大勢います」 「そうであっても安心して老後を過ごせるような施策は、決しておろそかにはしないでください。そうくぎを刺しておきたいと思います」 (2024年5月24日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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