本田真凜のGPシニアデビュー失敗は直前のSP曲変更が原因?!
フィギュアスケートのグランプリシリーズのスケート・カナダの女子フリーが28日(日本時間29日)現地で行われショートプログラム(SP)で10位と大きく出遅れた本田真凜(16、関大高)が、ほぼノーミスの演技で125・64点をマーク、合計178・24点で5位に入った。本田は続けて11月3日からの中国杯に出場するが、上位6人だけが出場できる12月7日からのGPファイナル(名古屋)への出場に限りなく赤色に近い黄色信号が点滅するホロ苦いシニアデビューとなった。 すべてはSPの失敗に集約されていた。 冒頭の3回転+3回転のコンビネーションジャンプでは、最初の3回転ルッツに成功したが、2つ目の3回転トゥループで転倒した。アンダーローテーションの判定もついた。 元全日本2位で現在後身の指導を行っている中庭健介氏は、その原因をこう見ている。 「一つ目のルッツジャンプの着氷で体重が後ろにのってしまっていました。踵重心になってしまったため、二つめのジャンプで踏み上がれなくなっていました。力まず、脱力感のあるジャンプが本田選手の特徴なのですが、ジャンプとジャンプの間のミスで、それが消えていました」 問題は、このあとのスピンである。足替えでのコンビネーションスピンはレベル2で「V」表記(ミスをしたときに一段階低い基礎点になる)がついた。 「このスピンには、キャメル、シット、アップライトの3つの姿勢が揃わなければならないのですが、そのうちの一つであるキャメルスピンが抜けていたので、V表記がつきました。その後のフライングキャメルスピンは、レベル1と評価されましたが、これは試みたバリエーションの回転不足でした」と中庭氏の指摘。 フライングキャメルスピンは、なんとレベル1。ジャンプのミスならまだしも、やってはならないスピンのミスで、本来ならば、確保していたはずの4点強ほどのポイントを失う。 最後のダブルアクセルも空中で一つ抜けてシングルになり、当然、GOEもゼロ。 52.60点で、まさかの10位に終わり、本人は「情けない演技」と今にも泣きそうだったが、何がシニアデビューの壁になったのか。 前出の中庭氏は、こういう見方をしている。 「本田選手の持ち味であるノビノビとした演技が見られませんでした。冒頭のジャンプの思わぬミスで焦ってしまい、演技の流れや音楽のズレをあわせようと意識することで、本来の演技ができなかったのでしょう。考えられる理由はやはりこのプログラムでの経験不足のように思えます。直前でSPの曲を変え、プログラムを手直ししたようですから、その影響も大きかったのだと思います。本来、練習の中でミスをして、それをどうリカバリーするかを覚えていくものですが、今回は、滑り込む時間が足りていないため、ミスをした後にどうカバーをするかに戸惑い、結果的に本田選手らしくない演技になってしまいましたね。 もちろん選手はノーミスの演技を目指していますが、ミスをどう処理をしてその後の演技をしていくかも重要な事だと思います。ただでさえ、シニアの大会は、ジュニアの大会に比べて規模も雰囲気も違いますから、プレッシャーというものがミスをした後の焦りに変わり、練習不足で慣れていないプログラムの中で余裕がなく修正が効かなかったのでしょう」