立浪竜3年目も"負け越し"で前半戦を折り返し、勝てない理由とファンの切歯扼腕
開幕ローテーションも崩れた
先発投手陣にも誤算が生じた。開幕投手をつとめた柳裕也が、2度にわたって2軍での再調整を余儀なくされていることに加え、肘の手術から復帰して早々に勝ち星を挙げた大野雄大も、その後は調子が上がってこない。小笠原慎之介は、毎試合長いイニングを投げて試合を作っているものの、打線の援護に恵まれず負け越している。ベテランの涌井秀章も体調面での不安が生じている。こんなことなら、昨秋のドラフト会議でもっと多く即戦力候補の先発投手を獲得しておけば良かったのに、とファンとしては思ってしまう。 唯一、開幕には間に合わなかったものの4年目の高橋宏斗(※「高」は「はしごだか」)が先発ローテーションの軸となっている。ここまで7勝1敗。7月19日の12奪三振をスタンドで観戦したが「打たせてたまるか」という気迫が伝わってくる、素晴らしい投球だった。
頼みの綱は鉄壁のリリーフ陣
明るい光は、リリーフ陣である。ライデル・マルティネスは、両リーグでも断トツの29セーブを挙げている。その安定感は年々増している。さらにライデルにつなぐ2投手、2年目の松山晋也は29ホールドポイント、清水達也は25ホールドポイントと、リーグ1位と3位に名を連ねる。 この3人が終盤の7回、8回、そして9回を投げるのだから、ドラゴンズは6回までリードを保てば、勝つ確率は大いに上がるのである。他球団が羨むリリーフ陣、しかしそれを有しながらもチームは5位に低迷して、彼らの投球回数だけが増えていく。シーズン後半戦に向けて、3投手はじめリリーフ陣の蓄積してくる疲れが心配である。
まずは打線を落ち着かせて!
ペナントレースは残り53試合、すでにシーズン日程の6割が終わった。ここまでの問題点を真摯に検証して、まずはこれからの浮上をめざさなければならない。前半戦の総括から見えてくる方向性、それは「先制点を取って、試合を主導して、リリーフ陣で締める」という戦い方だろう。そのためにも、これまで当コラムで何度も提言してきたことだが、打順と守備位置を落ち着かせてほしい。先発投手には長いイニングを期待したい。当たり前のことなのだが、その"当たり前ができていない"から、現状の成績なのである。 前半戦最後の讀賣ジャイアンツとの3連戦も、バンテリンドームには連日満員のファンが詰めかけた。しかし、決して立浪竜3年目の戦いぶりに満足しているファンばかりではない。声援以上にため息も多い。満員御礼のスタンドに甘えることなく、勝っても負けても竜党が納得できる、そんなドラゴンズ野球を後半戦こそ見せてほしい。それが上位浮上への道と信じたい。 【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】 ※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が"ファン目線"で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。
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