井浦新が最高の癒しキャラ…どこか哀愁も感じる菜々緒との爆笑シーンとは? ドラマ『無能の鷹』 第2話考察
菜々緒主演のドラマ『無能の鷹』(テレビ朝日系)が放送中。超有能そうに見える主人公・鷹野ツメ子が実は実は全く仕事ができないという、超脱力系お仕事コメディ。初回から好評を博し、Tver再生数が200万を突破した。今回は、第2話のレビューをお届けする。(文・まっつ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】井浦新に癒される…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『無能の鷹』劇中カット一覧
優しい人ほど社会では損をする…?
優しい人が損をする。本来あってはならないことだが、会社では“あるある”とさえ言っていいかもしれない。 他人の手助けをしても給与が上がるわけではないし、逆に「この人はやってくれるんだ」と余計な仕事を押し付けられるリスクもはらんでいる。金曜ナイトドラマ『無能の鷹』(テレビ朝日系)で、そんな「都合のいい人」となってしまっているのが、鳩山樹(井浦新)だ。 鳩山は、衝撃的な無能ぶりで社内ニートとなっている新入社員・鷹野ツメ子(菜々緒)の教育係を担当している。その経緯も、見た目だけできそうと批判される鷹野を、「すべては指導次第なんじゃないかな」とかばったことで押し付けられたものだった。 実際、鷹野は指導次第で変わるかというとそんなことはない。パソコンのフォルダを「開く」の意味がわからず、「クリック」も「アイコン」も、マウスさえもそもそも彼女の中の知識にない。 鳩山が「このカメムシみたいな形のやつを使って矢印を動かし、“カチカチ”って」と説明する姿は哀愁もありながら、笑いなしでは見ることができない第2話の“名シーン”だ。 そんな鷹野の指導にストレスをためていく鳩山。自分の優しさが自らを追い詰め、さらに会社にも不利益を被らせている。周囲から漏れ聞こえてくる声も聞いた鳩山は鷹野を甘やかすことをやめ、外注先への打ち合わせに鷹野と鶸田道人(塩野瑛久)を連れて行く。
「成長」という概念から外れている鷹野
カタカナ英語を操りまくる若きクセツヨ社長・鬼頭(落合モトキ)と対峙した鷹野は、ただ相手の言葉を発音よく復唱しているだけなのだが、それが思わぬ勘違いを引き起こす。さらには、鬼頭の深読みに次ぐ深読みが連鎖したことにより、契約締結へと至る。 原作マンガでも鷹野に対する心の声はキーポイントとなっているが、ドラマでも丁寧に鬼頭の心理描写を描いていたことでわかりやすく、かつ表情の動きも豊かですれ違いコントのような面白さを生んでいた。 もっとも、鳩山が鷹野から手綱を緩めたから成功に至ったかといえば、そうでもない。鷹野はいつもどおり堂々としているだけで、特別なことは何もしておらず、ましてや成長しているわけでもない。鷹野にとっては自分らしくい続けることが仕事となっており、もはや「成長」という概念から外れていると言ってもいい。 実社会でも、優しすぎる鳩山のような人はいるし、関わるだけ無駄と感じるような鷹野のような人もいる。どのようにするのが最適解かというのは第2話を見てもまだわからない。ただ、社会にはこうした現実があるというただの事実をポップなコメディの中で示していることにドラマとしての小さくない意義を感じた。