2年ぶりのウォン安水準…「米国の監視対象国指定の影響低い」との意見も
最近ドル高が激しくなる中で、米国が韓国を為替監視対象国に再指定し韓国政府の政策運用難度が高まった。米財務省の公式な監視対象に指定された点で当局の外国為替市場介入に負担が伴うだろうという懸念が出ているからだ。 最近のトランプ発のドル高でウォン相場は振るわない。心理的抵抗線である「1ドル=1400ウォン台」も崩壊した。米大統領選挙直前の5日には1370ウォン台だったが、トランプ前大統領の当選直後にドルが強さを示し13日には取引時間中に1410ウォン台までウォン安が進んだ。2年ぶりのウォン安水準だ。 他の主要国と比較しても韓国の通貨価値下落は目立つ。金融投資業界によると、今年ウォンの価値は9%近く後退した。15日の終値基準でウォン相場は1ドル=1398.80ウォンで昨年末の1288ウォンから8.6%ウォン安が進んだ。主要国のうち対ドルでウォンよりも劣勢な通貨は日本円がほぼ唯一だ。円相場は年初の1ドル=141.181円から156.295円に10.71%急落した。 漢陽(ハニャン)大学経済学科のハ・ジュンギョン教授は「韓国からそれだけお金が抜け出たということ。韓国の場合、輸出主導経済のため世界経済にあまりにも敏感な上にトランプ氏の当選後に保護貿易主義が強化されるため最も弱いところに挙げられたもの」と話した。 こうした中、米国が韓国を再び為替監視対象国に指定した点は韓国政府の為替相場管理に負担要因として作用しかねないという観測が出ている。米国は自国との貿易規模が大きい20カ国のマクロ経済と為替政策を評価し、一定基準に該当する場合には深層分析対象国もしくは監視対象国に指定している。韓国は14日に中国、日本、シンガポール、台湾、ベトナム、ドイツの6カ国とともに為替監視対象国に指定された。2016年4月から7年ぶりの2023年11月に為替監視対象国から除外されて1年ぶりに再指定された。 米財務省は報告書で「韓国は為替市場の状態が無秩序な例外的な状況だけで為替相場介入を制限しなければならない」と明らかにした。政府が為替相場にむやみに介入するなという公開警告だ。当局が外国為替市場関連措置や発言が当分萎縮しかねないという指摘が出る理由だ。 ただ韓国政府は「監視対象国指定は機械的登録」という立場だ。米財務省は▽商品・サービスなど対米貿易黒字150億ドル以上▽経常収支黒字国内総生産(GDP)3%以上▽8カ月間GDPの2%を超過するドル買い越し――の指定要件3種類のうち2種類を満たせば監視対象国に、3種類の条件をすべて満たせば為替相場操作国に自動指定するためだ。韓国は対米貿易黒字500億ドル、経常収支黒字割合3.7%で前の2種類の条件に当てはまり指定された。 企画財政部関係者は「為替相場操作国指定でないだけに直接的制裁はない。輸出競争力を高めるために人為的な介入をすることができないだけで市場安定に向けた為替相場調整は可能だ」と話した。 この制度が作られた趣旨と現在の状況には違いがあるという指摘も出る。この制度は対米輸出に有利に人為的に自国通貨を切り下げる行為を規制するために作られた措置だ。カトリック大学経済学科の梁俊晳(ヤン・ジュンソク)教授は「いまは反対の状況で、もし韓国政府が口先介入などを通じて為替相場を低くすれば韓国の輸出企業には不利になり米国の立場では有利になる。米国が特に問題にはしないだろう。誤解が生じないよう水面下で接触する必要はある」と付け加えた。 一方、現在のようなドル高が長期化する場合、輸入物価を押し上げ韓国の消費者物価の上昇圧力として作用する恐れがある。最近韓国銀行の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁も為替相場が金利決定の新たな変数になったとして基準金利引き下げが予想より遅れる可能性があることを示唆した。金利引き下げ遅延は内需回復を遅らせることになり景気鈍化傾向が長期間続くことになる。