【アメリカから見たTPP(7)】TPPは「対中国包囲網」なのか?
「TPPの利益が参加国を結びつける」
一方でデイビス教授は、国家間の競争に勝つためというよりも、TPPに参加することが経済的利益になるという点を強調する。「TPPは主要産業に利益をもたらすための、最初で最も重要な経済的合意だと考えます。同時に、TPPは参加国間の良好な関係を築くために重要となるでしょう。経済政策の課題を前進させるためにも、重要な協定となるでしょう」 アメリカはTPPの合意事項を先に交渉していたという事実によって、世界の貿易体制に対して、最も有力な政治的経済的大国として影響力を振るうことができるようになった。 そう考えると、将来中国が、既にルールが決められてしまったTPPに参加する可能性はあるのかどうか、という議論に結びつく。中国は、TPPに参加するのだろうか。 (次回に続く) ◇クリスティーナ・デイビス教授 米プリンストン大政治学部、ウッドロー・ウィルソン国際公共政策大学院兼任教授。国際関係論と比較政治学の研究を行い、貿易政策が専門。日本、東アジア、EU、国際機関の政策や外交について研究している。「 Food Fights Over Free Trade: How International Institutions Promote Agricultural Trade Liberalization」「Why Adjudicate? Enforcing Trade Rules in the WTO」(大平正芳記念賞)などの著書がある。 (聞き手・文:Matthew Kolasa、翻訳・構成:中野宏一/THE EAST TIMES)