不倫した妻が家出、夫は「話し合いたい」と職場訪問を画策… 弁護士が「リスクだらけ」と止める根拠
不倫して家を出ていった妻の職場に、義母と共に乗り込もうと思っている──。苦悩する夫からの相談が弁護士ドットコムに寄せられました。 男性が発覚した妻の不倫を問い詰めたところ、妻は家を出ていってしまいました。妻の実家にも帰っておらず、所在が分からない状態が続いたようです。 “サレ夫”になった男性ですが、妻の不倫を許して再構築するつもりでいますが、妻と連絡が取れないことには何も始まらないため、義母とともに妻の職場に出向いて話し合いをしたいと考えています。 職場にまで押しかければ、妻の浮気が会社にバレる事態にもなりかねませんが、問題ないのでしょうか。光安理絵弁護士に聞きました。
●会社にバラしたら犯罪になる可能性も
──妻の不倫が会社にバレた場合、夫に責任はないのでしょうか。 妻に不倫されたとのことで大変お辛いと思います。 妻の不倫相手に対して慰謝料請求をして、金銭的な賠償を受けることはできます。ただし、妻の不貞行為を妻の会社に知らせることは法的リスクを伴います。 不倫をされた“被害者”側としては納得がいかないと思われるかも知れませんが、刑事上は名誉毀損罪、民事上も妻から慰謝料請求を受ける可能性があります。 わざと知らせたのではなく、会社に出向いたことにより結果的に知られた場合であっても、民事上は故意のみならず過失責任も問われますので、慰謝料を請求される可能性は否定できません。 夫の意識としては事情を説明する程度だとしても、「事情」の中には、妻が不貞をしたという事実が含まれますよね。したがって、大声で乗り込む場合はもちろん、穏やかに会社の人と話したとしても、妻の不貞を第三者に吹聴したのと同じですから、責任を問われる可能性があります。 ──妻の会社に不倫がバレた場合、妻が会社から懲戒処分を受けることはあるのでしょうか。 通常、就業規則上の懲戒事由に不貞行為は含まれていません。 もちろん、社会生活上不適切な行為ではあります。しかし、会社組織はドライですので、仕事ができるかどうか、会社にとって有用な人材かどうかと、プライベートでどのような生活をしているかどうかは分けて考えることが多いです。 そのため、妻が必ず処分を受けるとは限りません。社内不倫の場合、一方が異動になることはあります。ただ、不貞をした男女ともその部署にとって必要な人材の場合、異動にすらならず、同じ職場で働き続けることもあります。