上海で開催中、ロエベ初の大規模展「CRAFTED WORLD」をレポート!
ロエベの大型エキシビジョン「CRAFTED WORLD」が中国・上海にて3月22日から開催中だ。現地に訪れたエディターがレポートする。 ギャラリー:上海で開催中、ロエベ初の大規模展「CRAFTED WORLD」をレポート!
ブランド史上初の大型エキシビジョン
ジョナサン・アンダーソンは、2013年にロエベのクリエイティブ ディレクターに就任して以来、ブランドを世界有数のラグジュアリーメゾンに成長させるかたわら、現代のクラフツマンシップを称える「ロエベ財団 クラフトプライズ」を2016年に設立。クラフツマンの卓越性、芸術性、新しさをプライズで紹介し、その技術の価値を高め、多様なアーティストとコラボレーションするなど、ファッションとアートの蜜月関係を築いてきた。昨年11月には、アートコレクターの邸宅をイメージした「カサ」コンセプトの路面店「カサロエベ表参道」をリニューアルオープン。そして今、もっともアートと緊密なデザイナーであるジョナサンがキュレートした、ロエベ初となる大規模展覧会「CRAFTED WORLD」が、5月5日まで中国・上海の上海展覧中心で開催中だ。 オープンから4日後の3月26日の正午頃(現地時間)に上海展覧中心の敷地に足を踏み入れると、お馴染みのロエベのロゴのオブジェが視界に入る。セルフィーに集中する来場者たちを横目に、職人のレザーツールボックスを模したエントランスを通り抜けると、178年の歴史を振り返る第1チャプター「Born from the Hand」に迎え入れられる。ここでは、19世紀の皮革職人達が使用していたツールや、広告キャンペーンのアーカイブや2015年に登場したアイコニックなパズルバッグなどが展示され、スペイン・マドリードの皮革工房から現在に至るまでを辿ることができる。 続く「Welcome to Spain」では、四方の壁面にキャンペーンビデオが映し出され、スペイン・イビサ島へのオマージュを捧げる「パウラズイビザ」コレクションのアイテムとパブロ・ピカソの陶芸作品などが並べられている。次章であるバッグの制作過程を紹介する「The Atelier」は白眉。裁断、塗装、組み立てなどの各工程の解説やその作業の様子を捉えた映像を観るため、多くの人が足を止めていた。 ジョナサンによる10年間のコレクションのハイライトとして69ルックを展示する「Fashion Without Limits」、「ロエベ クラフトプライズ」の受賞作品などを中心に据えた「United in Craft」、そしてコラボレーターであるスタジオジブリやスナ・フジタらにフィーチャーし、それぞれの世界観に没入できる「Unexpected Dialogues」で締め括られる。出口にあるショップでは、展覧会限定のTシャツやバッグを求める人々で賑わっていた。 「Fashion Without Limits」チャプターのキャプションには、「ロエベに参画したとき、私はクラフトとアート、ファッションの垣根を越えたブランドにしていきたいと思いました。クラフトという領域をもっとひらかれたものにし、クラフトとは何か、そしてクラフトはどうありうるのかについての人々の間の認識を押し広げたかったのです」とジョナサンがコメントを寄せている。この展覧会は、アイテム生産における卓越した技術と現代アートやクラフツマンシップとの交わりを詳説し、他のメゾンとは異なるロエベの魅力を来場者へ啓蒙している、といえそうだ。 1,600平米の会場は、足早に回っても1時間以上はかかる大ボリュームなので、この展覧会をきっかけに上海を訪れるのも良いだろう。また、入場にはWeChatでの事前登録が必須。WeChatにロエベの公式アカウントを追加すると、展示にまつわるミニゲームも楽しめるので、現地に行けなくともチェックしておきたい。 LOEWE「CRAFTED WORLD」展 会期/3月22日(金)~5月5日(日) 時間/10時~21時(現地時間) 場所/上海展覧中心(SHANGHAI EXHIBITION CENTRE) 入場/無料