【闘病】高校生で“全身性エリテマトーデス”を発症、部活動を断念…「無理に前を向かなくてもいい」
大好きだったソフトボールができなくなり、学校に行きたくないと思う時期があった
編集部: 病気が判明した時の心境はかなりのショックだったかと思います。 まりえさん: そうですね。当時の私は高校2年生で、小学校から少年野球、中学校からソフトボールを始め、高校はスポーツ推薦で入学するほどソフトボールが好きでした。しかし、SLEに罹患すると太陽の光に当たってはいけないため、今すぐ部活を辞めなさいと医師から言われて頭の中が真っ白になりました。また、脱毛が激しく頭頂部の毛がほとんどなくなり、学校に行くことも嫌だと思う時期がありました。 編集部: 発症後の高校生活は大きく変わったのですね。 まりえさん: 当時は県内のソフトボール強豪校にいて、電車の始発で通学して終電で帰宅するような毎日を送っていました。しかし、SLE発症と同時にやることがなくなってしまい、心に大きな穴が空いたような気分でした。日傘を持ち始め、自転車と電車で通学していたのをバス通学に切り替えました。 編集部: 最も辛い時期を乗り越えるために心の支えになったものは何でしょうか? まりえさん: よほどショックだったのか、当時のことはよく覚えていません。どうやって治療を乗り越えたのかが自分でもよくわからないですが、唯一の楽しみは入院中に母が持ってきてくれる手作りのお弁当でした。
発症から何年も時間が経っても戦いは続いている
編集部: 現在の体調について教えていただけますか? まりえさん: 現在は月に1度病院で検査をして、血液検査の数値次第でステロイド剤の量を増減しています。免疫抑制剤とステロイド剤を5年以上飲み続けて、今ではステロイドが10mgまで減らすことができました。 編集部: 体調は時期によっても変動するのでしょうか? まりえさん: 夏は外に出なければ基本的に元気ですが、冬は気温が下がるため常に体が痛い状況が続きます。また、仕事の業務時間が終わった後はゆっくりする時間を取ることができています。ただ、私の場合は蝶形紅斑が疲労のバロメーターになっていて、すごく疲れが溜まると蝶形紅斑で顔が真っ赤になってしまいます。 編集部: 普段の生活で気を付けていることは何でしょうか? まりえさん: 疲労を溜めないことと、自転車通勤なので夏はフード付きのパーカーで日光を避け、冬は手袋にマフラーなど防寒対策をすることです。22歳の頃に勉強の疲れが出たのか、受験予定だった国家試験の1週間前にステロイドの過剰摂取とストレスで蜂窩織炎(ほうかしきえん)になったことがあります。その経験があるので、疲労とストレスには普段から気を付けています。 編集部: もし発症して間もない頃の自分にかける言葉があるとしたら、どのような言葉を伝えたいですか? まりえさん: とりあえず、周りを気にせずに泣きなさいということです。難病だから家族や友達に迷惑をかけてしまうと感じて、ここで泣いてしまったらさらに心配をかけてしまうと、ほかの人の前では気丈に振る舞っていたからです。また、当時は高校生だったこともあり、親にたくさん支えられていました。もしかしたら私以上に親の方が辛い思いをしていたかもしれません。なので、親に感謝の気持ちを伝えたいです。 編集部: 全身性エリテマトーデスという病気について知らない人、普段意識せずに過ごしている方に向けて伝えたいことはありますか? まりえさん: あえて意識しなくてもいいです。ただ、見た目がとても健康そうな人でも病気を隠していることはあります。特に電車やバスで優先席に座っていることもありますから、そのことは知っていてほしいです。 編集部: まりえさんから医療従事者に期待することはありますか? まりえさん: 一番は早く治る薬を見つけてほしい、これに限ります。あん摩マッサージ指圧師と鍼灸師資格を持っているので、新薬の開発がいかに大変なことなのかは理解しています。それでも、SLEは本当にしんどいと感じる時が多いので、早く治る薬がほしいと切実に願っています。 編集部: 最後に、まりえさんから本記事の読者向けにメッセージをお願いします。 まりえさん: SLEは20代以降の女性に多い病気です。もし身近にSLEで辛い思いをしている方がいたら、少しでいいので寄り添っていただきたいです。この病気になって苦しいことのほうが多く、私自身も完全に乗り越えられているわけではありません。もし同じ病気の方がこの記事を読んでくださったら、乗り越えようとせず、無理に前を向かなくてもいい、気持ちを楽にしてほしいと思います。そして、SLEを抱えて生きているすべての方に「お願いだから無理はしないで」と伝えたいです。