センバツ2022 1回戦 大阪桐蔭、手堅く一歩 4年ぶり勝利に笑顔 /大阪
第94回センバツ大会第6日の24日、大阪桐蔭は第1試合で鳴門(徳島)と対戦し、投打のかみ合った野球で3-1で4年ぶりのセンバツ勝利を甲子園に刻んだ。試合終了後、約1400人の応援団で埋まった三塁側アルプス席からは、感謝の一礼をする選手たちに惜しみない拍手が送られた。2回戦は大会第8日(26日)の第3試合(午後2時開始予定)で、広島商(広島)とベスト8をかけて戦う。【隈元悠太、玉城達郎、山口一朗】 試合が動いたのは三回裏。2死二塁からフルカウントまで粘った2番・谷口勇人選手(3年)が、厳しいコースの球を下からすくいとるような一振りで捉えた。打球は中前に落ち、鈴木塁選手(同)が本塁に還って先制。続いて打席に入った松尾汐恩選手(同)は四球を選び、2死一、二塁の好機を作った。 ここで4番・海老根優大選手(同)が打席に入る。初球から振っていくことを意識した。「一気にたたみ込もう」。粘って5球目を捉えると、打球は右中間に飛んだ。50メートル6秒0の俊足で二塁へスライディングを決めると、谷口選手が生還。スコアボードに2点目を刻んだ。 七回に1点を返されたが、八回裏1死一、三塁で星子天真主将(同)がスクイズを決めて突き放した。最終回は先発・川原嗣貴投手(同)が108球目で相手打者を三振に打ち取りゲームセット。選手たちはバックネット前に整列すると、安堵(あんど)したような笑顔で校歌を歌った。 女子チアリーディング部の中井彩葉さん(同)は「みんなで校歌を歌えたことがとても誇らしく、うれしい。入学してから初めて2回戦を応援できるのが楽しみです」と期待を募らせた。 ◇力強く音で鼓舞 〇…全日本吹奏楽コンクールで金賞を5回受賞している大阪桐蔭吹奏楽部が3年ぶりにアルプス席に戻ってきた=写真。部員は126人だが、人数制限のため約50人を選抜。演奏できない部員の分まで思いを込め、迫力の演奏で勝利をアシストした。部長の宮崎志歩さん(3年)は「(甲子園での演奏は)部員たちが誰も体験したことがないため不安だが、大阪桐蔭ならではの力強い演奏で選手たちの後押しになれば」と笑顔を見せた。 ……………………………………………………………………………………………………… ■熱球 ◇昨夏の雪辱果たす春 川原嗣貴投手(3年) 最後の打者を三振に打ち取ると、右腕を大きく振って叫び破顔した。先発完投して1失点。同じ場所での苦い思い出を払拭(ふっしょく)した瞬間だった。 昨夏の甲子園、近江(滋賀)との2回戦で同点の八回にマウンドに立ち、2死まで迫るも制球が乱れて2失点。チームは敗退し苦杯をなめた。試合終了後、引退する先輩から「お前がこのチームをもう一度、甲子園に連れてきて春夏連覇しろ」と声を掛けられ、涙があふれ出た。 あれから半年。どんな場面でも冷静になることと、投球への粘りに磨きをかけてマウンドに帰ってきた。2点リードの七回に1失点。なお得点圏に走者がいたが、安定した投球でピンチを絶ち切った。試合後、「試合を重ねるごとに成長するピッチングができたら」と紫紺の大優勝旗を見据えた。【隈元悠太】