厚生年金 企業規模要件の撤廃検討へ 130万人が新加入可能に
厚生労働省は、パートら短時間労働者が厚生年金に加入する企業規模要件を撤廃する検討に入った。現在は101人以上(10月から51人以上)の企業が対象で、撤廃されれば約130万人が新たに加入できる。厚生年金に入る短時間労働者を増やすことで、老後の貧困リスクを減らしたい考えだ。 【解説】公的年金支給額、4月からどう変わった? 厚生年金には正社員の他、週20時間以上働き、月収8万8000円以上などの要件を満たしたパートら短時間労働者も加入できる。ただ、現状は100人以下の企業では対象にならない。 国民年金は保険料を40年間納付すれば月約6万8000円(2024年度)受給できる。厚生年金に加入すれば、受け取る額を上積みでき、老後の所得保障につながる。 政府は、パートら短時間労働者の加入を促進しており、段階的に企業規模要件を縮小してきた。10月からは51人以上に拡大し、最終的に撤廃することを目指してきた。 厚労省は2月に労使ら関係団体を交えた懇談会をスタートさせ、関係者から意見を聴取してきた。厚生年金の保険料は労使折半のため、負担が増える企業側が慎重だ。パートらが多く働く飲食店や旅館などの業界などから「小規模・個人の事業者の経営に与える影響は大きい」などと懸念する声が上がったものの、人手不足対策から中小企業の関係団体などは企業規模要件の撤廃に理解を示す方向となった。 厚労省は懇談会などの意見を踏まえ、与党と調整の上、年末の関連法案作成に向けて撤廃の時期などを詰める。【宇多川はるか】