日本のゴルフ人口の急減 コレクティブインパクトで起こす変革への挑戦
ゴルフは世界中で愛されるメジャーなスポーツであり、特にコロナ禍においては三密を避けるスポーツとしてブームが再燃しました。しかし、近年、日本のゴルフ業界ではプレイヤー人口の減少が深刻な問題となっています。1992年に1600万人だったゴルフ人口は、2019年には800万人へと半減し、さらにファン層の固定化やスポンサー頼みの収益モデルの限界も浮き彫りとなっています。 一方で、海外に目を向けると、メジャー大会の世界的な視聴者数は依然として高く、国際的なゴルフ人気は衰えていません。このような国内外のギャップを埋めるためにも、日本のゴルフ業界には新たなアプローチが求められています。 今後、日本が国際的な競争力を高め、長期的なビジネス基盤を強化するためには、新しい収益源の確保が不可欠です。また、若手プレイヤーの育成やファン層の拡大に向けた戦略の見直しも急務となっています。 これらの課題に対処するため、本来であればゴルフ業界に関わる「見る」「する」「支える」すべての関係者が集まり、知恵を出し合い、具体的なアクションを起こすことが必要です。しかし、ゴルフ業界には複数の業界団体が存在しており、それらが十分に連携する機会はこれまで限られていました。 ■「ゴルフをつなげる30人」発足 トライアルで見えてきたこと そんな状況下で、問題意識を持った有志メンバーによって立ち上げられたのが「ゴルフをつなげる30人」です。プロデューサーの廣兼祐介氏(SPORTS WAVE代表取締役)は、2019年度の「渋谷をつなげる30人」第4期生として参加した際に、官民共創プラットフォーム「つなげる30人」の手法をゴルフ業界に応用できるのではないかと考え、その構想を共に温め続けてきました。そして、コロナ禍を経て、ついに念願のプロジェクト開催が実現しました。 その後、事務局長として木下裕介氏(一般社団法人ゴルフライフデザイン代表理事)が合流し、多くの協力者の理解を得て、最終的には日本ゴルフ協会(日本のナショナルフェデレーション)の後援も頂き、ゴルフ業界に新たな風を吹き込む挑戦が始まりました。2023年11月にプレイベントを開催し、初年度はトライアルと位置づけ、プログラムは2024年1月から3月まで実施されました。 メンバーも、これまで、あまり交流機会がなかったゴルフ場運営会社、会員権業者、レッスンプロ、用具メーカー、大会スポンサー企業、そしてプロ・アマ問わずインフルエンサーとして活躍しているゴルファーなど、業界のさまざまな関係者が横断的に招集しました。 また、「イノベーション枠」という形で業界外からもメンバーを招き、対話を通じてゴルフ業界の課題に取り組みました。(なお筆者も多少ながらゴルフ経験はあるものの、全くの門外漢であり、そういう意味では「イノベーション枠」として位置づけられると思います。) 2024年3月の最終発表会では、3つのチームがそれぞれのアイデアを発表しました。 最初のチーム「新しいゴルフのリーダーズ」は、ゴルフをもっと気軽に楽しめる環境を作ることを目指し、特に若者や未経験者に向けた新しいイベントの提案を行いました。彼らは、ゴルフ場の18ホールを使って様々なアクティビティを取り入れ、ゴルフに興味を持ちながらも実際にプレーしていない層を引き込もうとしています。ゴルフの敷居を下げ、誰でも参加できる環境を提供することが彼らの狙いです。