お待たせしました! ホンダ・シビック、スーパーGTで初優勝。野尻智紀&松下信治「僕らが達成できてよかった」
富士スピードウェイで行なわれたスーパーGT第4戦、GT500クラスで勝利を手にしたのは、野尻智紀&松下信治組の#8 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTだった。8号車ARTAはポール・トゥ・ウインだっただけでなく、ホンダのシビック・タイプR-GTにとっての初優勝ということになった。 【リザルト】スーパーGT第4戦富士決勝順位速報:CIVICがスーパーGT初優勝! 8号車ARTA完勝。GT300は65号車LEON勝利 シビック・タイプR-GTの初優勝を自分たちが達成できたことに、野尻と松下は揃って安堵の表情を浮かべた。 8号車ARTAは前日に行なわれた予選でポールポジションを獲得。決勝でも野尻が担当した最初のスティントで後続との差を開くと、実質的にポジションを落とさずに松下へとバトンタッチ。その松下も迫り来る#100 STANLEY CIVIC TYPE R-GTの山本尚貴の追撃を凌ぎ、トップチェッカーを受けた。まさに完勝とも言える内容だった。 「ARTAというと、どこかで歯車が噛み合わなくなるというレースも過去にいくつかありました。それを寄せ付けないくらいのギャップと、”今回は8号車が勝つな”と思えるような雰囲気を植え付けたいと思っていました」 野尻はレース後の公式記者会見でそう語った。 「終始フルプッシュで、牧野(任祐)選手を引き離すために走りました。結果的には思っていた通りに差を広げることができたので、やるべきことはやれたと思います」 「松下選手とはかなり昔からの知り合いですから、チームワークや信頼関係も抜群だと思います。今後もふたりでさらに勝ち星を増やしたり、良いレースを経験していければと思います」 「チームも前を向いて、今日のためにクルマを作ってきてくれました。チームにもHRCにも、感謝したいです。シビックの初優勝を少しお待たせしたかもしれませんが、僕らが達成できて嬉しく思います」 野尻からバトンを受け継いだ松下は、残り周回数が多かったこともあり、最初は落ち着いて周回を重ねたと明かす。 「野尻選手のペースが良くて、2番手との差を安全なレベルまで開いてくれました。それが大きかったです」 そう松下は言う。 「僕のスティントは長かったですし、暑かった……しかもタイヤの摩耗も分からないという状況だったので、最初は落ち着いていこうということになりました。100号車STANLEYに比べればペースは遅かったみたいですが、彼らのマシンがミラーに映ったところから『これじゃあいかんぞ』と思って、ペースを上げようとしました」 「僕がペースを上げたところ、マシンも素直にペースを上げてくれました。(サクセスウェイトが)軽いということもあり、ここは絶対に落とせませんでした」 野尻と組んだことで、ある重要なことに気付いたと、松下は語る。 「信頼関係って、このチームに移籍してきて改めて大事だなと思うようになりました」 「ドライバーごとに好みとかそういうことは若干違います。でもその点でお互いが一歩ずつ譲歩していくと、最終的にはレースペースが上がるものです。そういうところを実感しました」 「次の鈴鹿は得意だと思っているし、たった1回だけの優勝で終わりたくもありませんので、次回向けて頑張っていきます」 一方、野尻は”鈴鹿は得意ではない”としながらも、まだまだビックポイントが狙えるはずだと次戦に期待する。 「サクセスウエイトは、同じくらいのマシンが半数くらいになると思います。ですから、これからもビッグポイントを狙えると思います」 そう野尻は語る。ちなみに、鈴鹿は野尻がスーパーフォーミュラで通算5勝を挙げているコースだ。 「僕は残念ながら鈴鹿が苦手ですからね(笑)。今回は僕が松下選手のフォローをしましたが、次は彼の力を借りて、彼の走りにちょっとでも近づけるように自分のポテンシャルを上げていくことが、結果にも近づいていくことだと思います」
田中健一, 戎井健一郎