ニューヨーク勤務、真のエリートサラリーマンたちのケタ外れの大豪遊…GS元社員がその全貌を明かした
世界トップクラスの地位と報酬が約束されたゴールドマン・サックス。だがその実態は、金と女性に対するおそるべき強欲、嫉妬にまみれた職場だった――。 【マンガ】iPhoneが発表された日にアップル株を「100万円」買っていたら 同社の元マネージング・ディレクター(上位8%の幹部職)の女性が1998~2016年の在職期間に目撃した、ミソジニー(女性嫌悪)と人種差別にあふれる、堕ちた企業風土を明らかにする衝撃の暴露本『ゴールドマン・サックスに洗脳された私』から、1998年の入社初日に味わった、歓迎パーティの様子をお届けする。 巨額の退職金を捨てて、秘密保持契約書(NDA)へのサインを拒否。同社の内幕を告発する道を選んだ彼女の回顧録を読み進めるうちに明らかになる、金融資本主義の欺瞞と、その背後にある差別的な思考とは?
新入社員を歓迎する、豪勢なイベント
TJマックス【訳注:アメリカのデパートチェーン】で買ったスーツは、研修初日の夕方5時には汗だくになり、動きにくいくらいだった。でも、夜もこの恰好のままでいるしかない。ゴールドマンの社交行事がある。少なくとも週に3回は、人脈づくりのためのイベントに参加するようにと言われている。これからは必ず予備のブラウスを持ってくること、とメモした。初日のお昼の時点で、すでにブラウスが汗で濡れてしまっていたからだ。ゴールドマンでは新入社員を歓迎するイベントの予算が潤沢にあり、ボート上でパーティが開かれたり、スパ施設を貸し切りにして1千ドルもするサービスが受けられたりする。どれもこれも、やりすぎで不必要な気はしたが、私は言われるがまま方々に出向いた。 最初のイベントは、ミッドタウンにあるステーキハウスで行われた。その日の朝に知り合ったばかりの新入社員、ソフィアとミシェルと一緒に出向き、テーブルについた。壁は落ち着いた色調の木でできていて、窓には分厚くて赤いカーテンがかかっていた。壁にはフランク・シナトラとディーン・マーティンの写真が誇らしげに飾ってある。ウェイターがワインをなみなみと注いでくれ、一口飲むたび、すぐにまたグラスいっぱいに注いでくれる。いちいち飲み物をオーダーしなくていいのは助かるが、こんなに飲んでいていいのか、わからなかった。腕時計を確認する。もう夜の7時だ。明日の朝、時間どおりに出勤するには、午前3時半に起きなくてはならない。あまり飲みすぎないようにしなくては、と自分に言い聞かせた。