「7条解散」公平性に課題 石破首相、以前は否定的
9日の衆院解散について、石破茂首相は「新内閣への信任」を理由に挙げた。衆院解散は時の政権に有利なタイミングで行われることが多く、石破首相自身、憲法7条に基づく解散に以前は否定的だった。「伝家の宝刀」と呼ばれる解散権の在り方は、このままでいいのか。政党間の公平性の観点から「課題がある」と指摘する専門家は少なくない。 衆院解散は憲法の7条と69条で規定。69条は、内閣不信任案が可決された際に内閣が衆院を解散できると定めている。現行憲法下で行われた26回の衆院選のうち「69条解散」は4回しかない。吉田茂首相(当時)による1953年の「バカヤロー解散」が代表例だ。 7条は解散を内閣の助言と承認を受けた天皇の国事行為と定める。小泉純一郎首相(当時)による2005年の「郵政解散」や、岸田政権下の21年の解散などが記憶に新しい。一方、任期満了による衆院選は76年の1度しかない。 石破首相による7条解散は要件を満たしているように見えるが、野党などは、予算委員会を実施しないまま解散に至った点を批判している。