夏の甲子園、地方大会中止決定も3年生救済の地方独自大会開催は「各地方連盟の自主性に任せる」との矛盾…責任の所在は? 安倍首相vs地方知事の構図に重なる奇妙さ
八田会長は、「地方がそれぞれの都道府県高野連独自の判断でされる分には、自主性にお任せしようと考えている。それぞれの都道府県が、このコロナの感染拡大の状況等、いろいろな総合的な情勢判断をされるのだろう。それに対して、私ども(日本高野連)が、こうして欲しい、こうして欲しくない、というつもりはない」と表明した。 言い方は悪いが、高野連として地方大会は中止したが、独自大会開催の可否についての決断は、各都道府県の高野連に丸投げしたのだ。 この構図は、政府が緊急事態宣言の解除指針を示さず、各知事の判断に任せたという構図に似ているのではないか。 安倍総理と大阪の吉村知事の関係…緊急事態宣言解除の出口戦略を各地方自治体に丸投げした政府の”失政”に重なった。西村経済再生担当大臣と、吉村知事のSNSバトルによると法律の解釈では、休業要請解除の権限は各知事にあるらしいが、出口戦略の基準は、政府が示すべきだったとの世論が起きた。 この日、地方大会を中止にしながら、独自大会の開催判断を、各都道府県高野連に任せるという姿勢を明らかにした高野連も、その判断基準についての指針をあえて示さなかった。八田会長は「高野連として方向を打ち出しているわけではない」とも言った。 実は、地方大会の開催可否を決める権限は、各都道府県の高野連にあり、日本高野連は、その連絡会的な役割を果たしているに過ぎないが、一方で各都道府県で起きた不祥事に対する処分などは、日本高野連が示してきた。ここでも独自開催する場合のガイドラインを日本高野連が示してもよかったのではないだろうか。 「こうして欲しい、こうして欲しくないは言わない」の姿勢は、もし独自開催を決めた地方で感染者が出るなどの問題が起きた場合の責任逃れにしか映らない。 朝日新聞社の大会事務局の関係者は、「これから都道府県が独自で模索されていく大会は選手権大会という名称でない。そもそも選手権大会は中止となった。都道府県が考えていかれる大会については、(地方大会の)替わりという位置づけではないのではないか、と私たちは考えている」と、わざわざ付け加えた。 ただ、日本高野連は、すべてを丸投げしたわけではない。独自開催をバックアップする姿勢も明らかにした。 「いろいろと、ご相談があるのかもしれない。今まで102回大会を進める、あるいは開催するにあたって、集めた情報、専門家の方々からのアドバイス等をもっている。相談されれば、このような専門家の知見がある、ガイドライン的なものがある、ということで応じさせていただく。ある程度の限界はあるかもしれないが、財政的な支援はさせていただくということで理事会の了承をえている」と八田会長。 感染予防対策のマニュアルなどのアドバイスだけでなく、独自開催に必要な球場使用料など経費に関する支援も行う考えだという。