Number_iでも、BE:FIRSTでもなく…日本のボーイズグループが変わるきっかけを作ったトップランナーグループと、3年前の「意味深」な歌詞
紅白の出演者から見るボーイズグループの栄枯盛衰
Da-iCEがレコード大賞を受賞する直前の2021年8月9日、彼らは「Kartell」(※1)という楽曲をリリースしている。ハードなギターサウンドで始まるこの曲で歌われているのは、「嘘くさい常識」「くだらない暗黙の了解」「忖度と不感症」(いずれも工藤の作詞による同曲の歌詞)。 この歌詞についてグループ側からの具体的な説明はなされていないが、実力派の男性ダンス&ボーカルグループがこんなことを歌うのはなんとも意味深である。なお、Kartell=カルテルとは市場における競争を阻害する不当な取引制限のことを指す。
この曲の発表から1週間後となる2021年8月16日には、今年紅白に3度目の出場を果たすダンス&ボーカルグループであるBE:FIRSTのプレデビュー曲「Shining One」が発表されている。BE:FIRSTを生み出したオーディション「THE FIRST」には工藤もゲストとして登場していた。 この「THE FIRST」は、日本の音楽業界への問題意識を抱えていたラッパーのSKY-HIが「才能を殺さないために。」をスローガンに起業した会社BMSGによる企画である。つまり、今のダンス&ボーカルのシーンにおいて大きな影響力を持っている存在が、3年前の夏に期せずして日本の音楽業界に対する異議申し立てをともに行っていたと言える。 この3年間、つまりDa-iCEのレコ大受賞年である2021年から紅白初出場を決めた2024年の間に、男性ダンス&ボーカルグループを取り巻く環境は大きく変わった。この変化は、紅白に出場するアーティストの顔ぶれに表れている。以下に名前を挙げたのが、各年の紅白に出場した歌って踊るタイプの男性グループである(グループ名の後ろの(初)はその年が初出演となったグループ)。 2021年→GENERATIONS、SixTONES、KAT-TUN(初)、King & Prince、Snow Man(初※)、関ジャニ∞ 2022年→SixTONES、なにわ男子(初)、JO1(初)、BE:FIRST(初)、Snow Man、King & Prince、関ジャニ∞、KinKi Kids 2023年→JO1、Stray Kids(初)、BE:FIRST、SEVENTEEN(初) 2024年→JO1、Da-iCE(初)、TOMORROW X TOGETHER(初)、Number_i(初)、BE:FIRST 2021年のGENERATIONSを最後にLDH所属のグループが姿を消し、2021年の5組および2022年の6組と大きな影響力を誇っていた旧ジャニーズ事務所のグループは性加害問題に端を発して2023年から0組となった。代わりに台頭してきたのが、Stray KidsらのKポップのグループ、日韓合同のオーディション企画によって生まれたJO1、TOBE所属のNumber_i、そして前述のDa-iCEやBE:FIRSTである。 2010年代にシーンの中心にいた存在が新たな勢力に入れ替わっていったのが、2020年代前半から半ばにかけての出来事だった。そしてその動きは、前述したスキルの高さを見直す流れともリンクしている。様々なことが起こっている令和の音楽業界の中でも、男性ダンス&ボーカルに関する状況の変化は、特にインパクトの大きなものだった。
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