佐野勇斗、イケメンだけでは不十分? 男女から支持されるカッコいい男子役
経験したことのない「甘酸っぱい恋」 男女どちらから見てもカッコいい男子役「難しい」
そんな佐野が葵とW主演を務める今作は、南波あつこ氏原作漫画『青夏 Ao-Natsu』の実写化作品だ。東京の高校生・理緒(葵)が、夏休みに祖母が住む上湖村で暮らすことになり、そこで地元の高校生で酒屋の息子の吟蔵と「運命の出会い」を果たす。二人で過ごす時間が増える中、お互い惹かれあうものの、夏休みが終わったら東京に帰ってしまう理緒との恋に二の足を踏む吟蔵。二人の恋の行方はいかに? まだ、青春真っ盛りともいえる佐野だが、理緒と吟蔵のような夏休みの思い出や運命の出会いは過去にあったのだろうか? 「正直、夏休みの甘酸っぱい思い出とかは僕の中にはひとつもないです。だから今回の映画の中での恋が初めての経験でした。男の僕が見ても吟蔵って純粋に『あぁ、かっこいいな』と思ったのですが、男女どちらから見てもかっこいい男を演じるっていうのは難しかったですね。たとえば、川へ飛び込むシーンがありますが、服を脱ぐので半端な身体じゃダメだなと、食事制限をして、プロテインを飲んでジムに通い、鍛えたりしました」 大自然に負けないワイルドさを出すために、まずは肉体改造を試みたという。 「バイクに乗るシーンがあるので免許を取ったり、クランクインする前の約4カ月間は結構きつかったです。減量というより、結果的には筋肉がついたので、そのぶん体重は増えたんですけど」と苦労話を明かした。
上湖村のロケ地は三重県伊勢志摩。山の緑と渓流が織りなすどこまでも美しい、日本人の心の奥底にある、ふるさとのような場所で撮影が行われた。 「いまよくある恋愛映画とはちょっと違って、昔風というか、すごくピュアな恋愛なんです。きっと観終わった後は、『私もこんな夏休み過ごすぞ』って思っていただけるような映画になっていると思います。観ていただいた方々から、『二人で夏祭り行きました』とか、『夏のおかげですてきな出逢いができました』なんて話が聞けたら嬉しいなと思います」 映画の中で佐野がとくに気に入っているのが、展望台での理緒と吟蔵のシーンだという。二人が少しギクシャクしていた時期で、お互いの心理的な感情表現が交錯し、新しい展開に移る重要な場面のひとつになっている。 「吟蔵が(前に)『あんなこと言ってゴメンね』と言って、理緒をふっちゃうシーンなんです。告白されたけど、無理だって。重たいシーンですが、すごく景色がきれいで、吟蔵と理緒の関係性がすごくいい。吟蔵もここで理緒に惚れ直すというか」 目の前で語るのは吟蔵なのか? 熱く力強い話しぶりが印象的だった。スクリーンに映し出される大自然を背景に繰り広げられるピュアな恋とともに、さわやかな青い夏を体験してみてはいかがだろう。 (取材・文・撮影:田村豊)