李相日、三浦透子、後藤正文、Licaxxxらが映画「HAPPYEND」に賛辞贈る
「Ryuichi Sakamoto | Opus」の空音央による長編劇映画デビュー作「HAPPYEND」より著名人の鑑賞コメントが到着した。 【動画】夜の学校に忍び込みDJごっこ「HAPPYEND」本編映像 決して遠くはない未来を舞台とした「HAPPYEND」では、幼なじみの大親友ユウタとコウを軸に友情の危うさが描かれる。本作を鑑賞した映画監督の李相日は「ほろ苦い青春を体現する俳優たちの瑞々しい存在感に、郷愁と温もりを感じた。同時に、この世界を覆う暗雲と、いつまでも排他的な人間の本性に戦慄が走った。言葉にならない感情や、目には見えない空気が鮮明に映し出されていた。まるで、エドワード・ヤンが蘇ったかのような錯覚を覚えた」とつづった。 また俳優の三浦透子は「疑問も願いも諦めたくないと、勇気を貰える映画でした」と、ミュージシャンの後藤正文は「私たちの姿勢や態度を、静かに、だけど鋭く、見つめ直されるような、眼差しの映画」と伝えている。そしてDJのLicaxxxは「何年経っても見るたびに現実を突きつけてくれる作品に育っていくと思います」と期待を込め、シンガーソングライターのSIRUPは「友情とは立つ場所によって見え方が変わるもの。腐敗する権力に生活という未来を剥ぎ取られている日本で、この作品は未来でなく今なのです」と語った。そのほか大橋裕之、春ねむり、永井玲衣、佐々木敦、竹田ダニエル、SYO、ISOのコメントは下記の通り。 さらにこのたび本作の本編映像の一部がYouTubeで解禁に。栗原颯人と日高由起刀演じるユウタとコウが林裕太、シナ・ペン、ARAZI扮するいつもの仲良しメンバーとともに夜の学校に忍び込み、DJごっこに興じる様子が収められた。空は5人について「運命的な出会い。第一印象で彼らしかいないと思った」と振り返っている。 「HAPPYEND」は10月4日に東京・新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で公開。中島歩、矢作マサル、PUSHIM、渡辺真起子、佐野史郎らもキャストに名を連ねた。 ■ 李相日(映画監督)コメント ほろ苦い青春を体現する俳優たちの瑞々しい存在感に、郷愁と温もりを感じた。 同時に、この世界を覆う暗雲と、いつまでも排他的な人間の本性に戦慄が走った。 言葉にならない感情や、目には見えない空気が鮮明に映し出されていた。 まるで、エドワード・ヤンが蘇ったかのような錯覚を覚えた。 ■ 三浦透子(俳優)コメント 素直に絡まり合う登場人物たちの心体が美しい。 繊細な迷いも、ちょっと乱暴な思いやりも、今の私にはあまりにも眩しかった。 疑問も願いも諦めたくないと、勇気を貰える映画でした。 ■ 後藤正文(ミュージシャン)コメント 大人になるということは、社会の不条理をすべて受け入れて、これが世間だと居直ることではない。 映画のなかの彼らが僕を見ている。僕は彼らの傍に立って、同じ目で社会に対峙したい。 私たちの姿勢や態度を、静かに、だけど鋭く、見つめ直されるような、眼差しの映画。 ■ Licaxxx(DJ)コメント 高校生の時に、敷かれたレールの外に気づいた時のことを思い出した。 自分が社会に属していて、やりたいこと、やるべきこと、友達、家族。それらについて同時に考えないといけない。 下から這ってくるような焦燥感を初めて感じた。 そしてそれを繰り返す度、何かを作ることに意義があると信じることができる。 何年経っても見るたびに現実を突きつけてくれる作品に育っていくと思います。 ■ SIRUP(シンガーソングライター)コメント 「抵抗」とはどこから来るのか。 「うまくやる」という仮面をいつまで被り続ければいいのか。 友情とは立つ場所によって見え方が変わるもの。 腐敗する権力に生活という未来を剥ぎ取られている日本で、この作品は未来でなく今なのです。 ■ 大橋裕之(マンガ家)コメント あえて情報を入れないままぼーっと観始めたら、青春映画の傑作だったという不意打ちの喜びを味わえました。 今振り返ると尊いとさえ感じるあの頃特有の気怠さが、自然且つ丁寧に完璧に表現されていて、最初から最後まで目が離せませんでした。 ■ 春ねむり(ミュージシャン)コメント 契約した覚えがない。 「違法」の範囲を権力者たちが決定すること。根拠のない神話によって「日本人」が決定されること。 国家が軍隊や警察という暴力装置を持つことができること。 一方的に提示される暴力的な条件の全てを、生まれてこの方一度たりとも承認した覚えがない。 それはなんとなく許されているだけで、抗い難いもののように演出されているだけだ。 それを許しているものの正体はなんなのか? ──映画はあなたに問うている。 ■ 永井玲衣(哲学者・作家)コメント この映画を「青春映画」なんて言葉でごまかしたくない。 問うこと、抵抗すること、傷つくこと、傷つけること、もがきながらも、すでにつねにともに生きている「あなた」を見つけること。 これはわたしたちの暮らす社会の話であり、生の話である。 ■ 佐々木敦(批評家)コメント 坂本龍一の最後の演奏を記録した美しい作品でデビューした空音央監督の長編劇映画第一作は、瑞々しくも大胆な青春群像映画だった。 ここには「キッズ・リターン」の北野武と「牯嶺街少年殺人事件」のエドワード・ヤンがいる。 「幸福な結末」というタイトルの、はじまりの物語。 ■ 竹田ダニエル(ジャーナリスト・研究者)コメント 監視社会も、汚職政治も、どうしたら変えられるのだろうか。 「しょうがない」で、本当に諦めていいのか。 今の日本が、そして世界が必要としている作品。 ■ SYO(物書き)コメント 権力に監視され、分断と弾圧が社会を侵す未来。 諦念に生きる若者が選ぶのは、享楽か反抗か―― 才能と主張がここまで統合した映画があるのか。 軋む時代の音に乗って響く、次代を鳴らす傑作。 ■ ISO(ライター)コメント デモに行って嘲笑われたことがある。差別に反対して叩かれたこともある。 そんなどうしようもない現実の写し鏡となるこの映画の中で、ルーツも思想も異なる子どもたちが他者を想像することを学んでいく。 今我々が生きる悲しみと怒りの世界にだって、きっとまだハッピーエンドに続く道は残されているはずだ。 この子どもたちのこれからのように。 (c) 2024 Music Research Club LLC