空力の鬼、エイドリアン・ニューウェイが築いた王者の歴史。ウイリアムズFW14B~マクラーレンMP4/14【後編】
■レッドブルRB8
2012 F1 コンストラクターズチャンピオン(7勝) 2012 F1ドライバーズチャンピオン - セバスチャン・ベッテル(5勝) 2012 F1 ドライバーズランキング6位 - マーク・ウェーバー レギュレーションによりエキゾーストパイプの出口が特定のエリア内に限定されたため、RB8はブロウン・ディフューザーの変更を余儀なくされた。 その影響もあってか2012年は非常に僅差なシーズンとなり、開幕から6戦すべてで勝者が入れ替わり、レッドブルは開幕から13戦でわずか3勝しかできなかった。ニューウェイもマシンの状態を正しく把握できず、フラストレーションを溜めていた。 しかし、シンガポールGPに向けた大規模なアップグレードがレッドブルのシーズンを大きく変えた。チームはフロントウイングをフロアに近づけることができるよう、ノーズを再設計。また、RB8にはリヤウイングの下にあるビームウイングに気流を導き、ドラッグの低減に貢献するダブルDRSが追加された。 日本GPではレッドブルがシーズン初のフロントロウ独占を果たすなど、ベッテルが4連勝を飾り、レッドブルは3年連続のダブルタイトルを獲得した。
■レッドブルRB9
2013 F1 コンストラクターズチャンピオン(13勝) 2013 F1 ドライバーズチャンピオン - セバスチャン・ベッテル(13勝) 2013 F1 ドライバーズランキング3位 - マーク・ウェーバー 2012年のタイトル争いがシーズン終盤まで続いたことで、レッドブルはRB9のシャシー開発を遅らせた。にもかかわらず、レッドブルRB9は圧倒的な強さを見せた。 ベッテルは最終戦アブダビGPで9連勝を達成し、シーズン13勝。3戦を残してチャンピオン4連覇を決めた。これはフロントウイングのたわみに関する規制強化など、様々なルール変更を乗り越えて達成されたものだった。 とはいえ、RB9は先代RB8が持っていた特性の多くを備えた正常進化だった。これはパワーユニット(PU)の導入を含む、2014年のレギュレーションの大幅変更を控えていたためでもあるが、以後しばらくレッドブルとニューウェイはタイトルから遠ざかることになる。