ラスト5分の衝撃…モヤモヤの正体は? 『オクラ~迷宮入り事件捜査~』は緊張感と癒しの緩急が素晴らしい。第4話レビュー
火9ドラマ『オクラ~迷宮入り事件捜査~』(フジテレビ系)が放送中だ。反町隆史演じる人情味のある“昭和刑事”と、杉野遥亮演じるクールな“令和刑事”が風化寸前の事件を追うヒューマンミステリーエンターテインメント。今回は、第4話のレビューをお届けする。(文・西本沙織)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】モヤモヤするラスト…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『オクラ~迷宮入り事件捜査~』劇中カット一覧
未解決のホステス殺人事件
事件は解決しなければならないのか? たとえ、被害者が望んでいなくても。そんな未解決事件の根っこを揺さぶるセリフが印象的だった『オクラ~迷宮入り事件捜査~』第4話。 不破利己(杉野遥亮)は、飛鷹千寿(反町隆史)に何も告げることなく警視庁に一通の情報提供メールを送る。内容は、2年前に白金で起きたホステス殺人事件についてだ。 当時墨田署に勤務していた不破は、ホステスの不知火美佳(樋井明日香)と息子の壮太(石塚陸翔)の護衛を命じられていた。美佳は脅迫電話やストーカー被害に悩まされており、不破は同期の志熊亨(有澤樟太郎)とともに警護へ。しかし、あるとき何者かに襲われ、その間に美佳は殺されてしまった。 その際、不破は包丁を持った美佳の元恋人・新山博一(後藤剛範)の姿を目撃するが、逃げられてしまう。新山の素性が判明していたのに逮捕に至らなかったのは、証拠がなかったから。「証拠第一主義」な警察の実態が浮き彫りになるが、だからこそ飛鷹の“捏造”が通用するのだろう。
事件を解決させたい不破の思い
不破は有力な情報を掴んだと言い、やがて証拠づくりに動いていく。 だが、そんな不破に随時ストップをかけるのは飛鷹だった。不破は飛鷹の真似事をしているが、2人の違いは“犯人が確実にわかっているか否か”だ。 不破は血まみれの包丁を握る新山を見てはいるものの、直接犯行を目撃したわけではなく、断定するには不十分なところがある。にもかかわらず、逮捕に向けて強引に捜査を進める様子は、普段の冷静さを残しつつも、どこか暴走しているようにも見えた。 飛鷹は犯罪者を法の下へ引きずり出すことを“正義”としながらも、同時に1歩間違えれば冤罪を生みかねない危険な行為であることを肝に銘じている。一方、不破は飛鷹の”正義”に共鳴する素振りを見せているが、この無鉄砲っぷりは、なんだか飛鷹の言う“正義”を利用しているようにみえてならない。 だが、そんな不破には事件を否が応でも解決させたい理由があった。事件が解明されれば、あの日以来笑わなくなった壮太の笑顔が見られると思ったのだ。クールで合理的だが、意外にも情に厚い一面を持っている。不破の人間性がより立体的にみえた瞬間だった。 左利きのグローブにタバコを吸わない新山、壮太が描いた父親の絵など…。飛鷹が捜査を進めれば進めるほど、新山が犯人である線はなぜかどんどん薄れていった。そして、固く結ばれた事件の紐は、壮太の語りによって徐々に解かれていく。