【高校サッカー選手権】飛龍、PK戦の末に藤枝東を下し9年ぶりのベスト4進出 MF丹羽咲人が圧巻2発
11月4日、第103回全国高校サッカー選手権静岡予選の決勝トーナメント準々決勝3試合が裾野市運動公園陸上競技場で行われた。 【フォトギャラリー】 飛龍 vs 藤枝東 13時30分キックオフの第2試合。プリンスリーグ東海勢で前回大会、準優勝の藤枝東と県ユースリーグAの飛龍が対戦。試合はPK戦を制した飛龍が9大会ぶりのベスト4進出を決めた。 先制は飛龍。前半5分、ロングスローからDF4 秋山稜瑛(3年)が押し込みゴール。その後は一方的な藤枝東ペース。12分にFW9湯山大輔(3年)が頭で決め、追いつくと20分にはそのFW9湯山のパスを受けたMF10 柳川結飛(3年)が決め、逆転。さらに後半21分、ふたたびFW9湯山が決め、3-1とし、2点差に引き離した。 このあたりから、藤枝東は足が止まり始め、機能していた攻撃に滞るようになった。これを見逃さなかった飛龍。後半29分、右サイドMF24 橋本竜輝(2年)からのマイナスのパスにMF10丹羽咲人(3年)がミドルシュートを決めると、33分にMF24橋本のスルーパスを受けたMF10丹羽がドリブルで進入し、左足でシュート。これが決まり3‐3の同点に。その後、延長戦では両チーム、無得点で決まらなかった。8人目まで続いたPK戦では飛龍GK 17吉川湊(2年)が2本止め、7-6で決着した。2得点のMF10丹羽は「ゴールに賭ける思いは人一倍強くあります」と言葉通りの活躍を見せた。 「前半は受け身になってしまいました。後半の失点が重かったですが、最後まで諦めませんでした」と飛龍・菊川達也監督。後半、2点差とされ、劣勢に立たされたものの、追いついて、さらにPK戦での勝利。「(こうした試合でも)しぶとくやれます。(劣勢の状況から)力を出せるのがチームの強さ。底力がありますし選手たちから不思議なパワーを感じます」と語った。その源泉は迷いのなさ。堅い守備を敷きつつ前線にボールを供給。さらにロングスローで圧をかけ続けた。「やることははっきりしています。自分たちができることをやらないと勝てません。戦える部分で相手に挑み、戦う。戦い抜くのが一番、大事。途中でブレても仕方ないですから」と初志貫徹が実った。 MF10丹羽、GK17吉川、MF24橋本、そしてDF4 秋山が躍動したが忘れていけないのは左サイドバックのDF5 高原伸ノ介(2年)の存在。得意のロングスローを買われての先発起用に見事応えた。くしくも1点目はこの試合最初のロングスローから。「試合にむけ、練習しましたが、まさか入るとは思いませんでした。ただただ嬉しかったです」と驚きと喜びをもって振り返った。100分間のなか、DF5 高原は20本、いや30本近く、投げているだろうか。 「きょうは特に投げたと思います。最後、足がつりましたが、背中が一番つらいです」と明かしたDF5高原は「持ち味はロングスローと元気の良さ。ドリブルやクロスでは貢献できないので、とにかく声出して走って、戦う部分で貢献できればとプレーしています」という心意気が良い。髪をなびかせ、プレーする選手が多いなか、いまどき珍しいスキンヘッド(五厘刈り)。聞けば、ことしの5月あたりから始め、いまは試合前や学校行事の前にも手入れをしているそうだ。また髪型とロングスローから青森山田・小沼蒼珠選手をリスペクトしている。「‘静岡の小沼’になれれば」とDF5高原。応援に来た家族の前で戦う姿を見せた。 ベスト4進出を決めた飛龍の次の相手は静岡学園。菊川監督は「めちゃめちゃ強い相手。もうワンランクあがってくる相手。最高の舞台でやれるので、勝っても負けてもベストゲームの更新したい」と抱負を語った。 (文・写真=佐藤亮太)