高齢ドライバー相次ぐ事故 なぜ?自主返納は減少 “免許手放せない”事情とは…
日テレNEWS NNN
高齢ドライバーによる交通事故が後を絶たない中、免許の自主返納が減少傾向となっています。返納を決意する人がいる一方で、返納したくてもできない、悩みの声が聞かれました。 ◇
神奈川県逗子市で今月15日、50歳の女性が亡くなる事故がありました。事故を起こしたのは80歳の女性。反対車線の車に衝突したあと、歩道を歩いていた女性をはねたということです。 同じ日、福島県鏡石町では、72歳の女が運転する車が駅に突っ込み、19歳の大学生が死亡。その翌日には、新潟県新発田市で88歳の女が運転する車に小学生3人がはねられる事故が起きました。 ◇ 2022年、75歳以上の高齢者が運転する車やバイクで起きた死亡事故は379件。これは死亡事故全体の16.7パーセントを占めていて、割合は過去最高を更新しています。 後を絶たない高齢ドライバーの事故にたびたび議論されるのが、免許返納についてです。 20代 「やっぱり返納っていう選択肢もあるのかなと思います」 千葉在住(80代) 「ドブに落ちちゃったり、あやしくなったのでやっぱり『返納して』って言いました」 そう話す女性の夫は、以前車を運転していましたが、75歳のときに返納を決意したといいます。 千葉在住(80代) 「やっぱり70歳すぎたら、あんまり乗らない方がいいと思いますね」 一方、免許を持っている人は…。 福島在住 (60代) 「免許返納考えます。我が身のことですよ。自分のことを言われているような気がして。やっぱり怖いです」 神奈川在住(70代) 「年相応でやっていかないといけない。あと1回更新するかしないかが瀬戸際じゃないかな」 多くの人が“他人事(ひとごと)ではない”と感じていました。 ◇ しかし、免許の自主返納の件数は、3年連続で右肩下がり。
池袋の暴走事故が起きた2019年をピークに減少しています。 埼玉・深谷市で21日、孫を駅まで送っていた男性に話を聞きました。75歳になったら返納を考えているといいますが…。 埼玉在住(71歳) 「地域的に便利ですよね、車だとね」 交通の便が悪いため、免許を手放すのは悩ましいといいます。話を聞いた別の女性も、返納について考えていますが…。 埼玉在住(74歳) 「30分かかりますから歩くと」 自宅から駅まで、歩くと30分かかるといいます。 埼玉在住(74歳) 「都会と違うからね、この辺は。車ないと不便だから」 また、悩みがあるのは家族も同じです。神奈川県逗子市で、80代の祖父に家族で返納を説得しているという女性に聞きました。 30代 「免許返納の話はしてるけど、移動手段のひとつや趣味だと言っていて、生きがいをとってまで説得する必要があるのかって」 なかなか本音を伝えづらいといいます。 30代 「みんなが前向きに返納できる環境であればいいなと思います」 ◇ その“環境”を整えようと、埼玉県深谷市では、路線バスを半額で利用できるサービスを2016年から開始。運転経歴証明書を見せれば半額になり、利用者は増えているといいます。