Bloomberg

（ブルームバーグ）： 18日の日本市場では債券相場が上昇。日本銀行が利上げを急いでいないとの見方から買いが優勢になった。円相場は一時１ドル＝155円台前半に下落。株式は売られている。

日銀の植田和男総裁が午前に名古屋市内で講演し、利上げのタイミングは「先行きの経済・物価・金融情勢次第」との見解を示した。

大和証券の岩下真理エグゼクティブエコノミストは、講演では12月会合に向けて利上げを強く示唆するものはなく、期待外れだったと指摘。10月の経済・物価情勢の展望（展望リポート）に沿った動きが続けば金融緩和度合いの調整は可能だとしつつ、現時点では「12月にやると決め打ちはしていない状況に見える」と述べた。

ただ、最近の円安基調もあって市場の一部ではタカ派発言への警戒も根強い。午後１時45分からの記者会見を前に円は下げ幅を縮めている。

債券

債券相場は上昇。日銀の植田総裁から12月の利上げを示唆する発言がなかったことから買い戻されている。

三菱ＵＦＪモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジストは、講演が利上げを強く示唆する内容ではなかったため、為替は円安、債券は先物高で反応したと指摘する。ただ、市場は12月利上げを織り込み始めており、植田総裁は午後の会見でも織り込みを黙認するだろうと予想。引き続き「12月利上げの可能性が高い」とみている。

日銀は午前10時10分に定例の国債買い入れオペを通知。対象は残存期間１年超３年以下、５年超10年以下、10年超25年以下で、いずれも買い入れ額を据え置いた。

為替

東京外国為替市場の円相場は１ドル＝154円台半ばで推移。植田総裁の講演で12月の利上げを強く示唆するような発言がなかったことから、一時155円台前半まで円を売り直す動きが出た。午後は株価の大幅下落や総裁会見に向け、下げ幅を縮小している。

大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、「植田総裁の発言に利上げを急ぐような感じはなく、先週末以降に円が買われていた反動が出た」と説明した。もっとも、午後の総裁会見で踏み込んだ発言も警戒され、「円の高値を試す動きが終わったかどうかまだ判断できない」と述べた。