MotoGPマシンがスーパーバイクに負ける日は来ない? 排気量ダウンで懸念もFIM会長は自信示す
MotoGPは2027年に導入される新しいレギュレーションを発表したが、WSBK(スーパーバイク世界選手権)のバイクより遅くなるようなことはないとFIMは説明している。 新レギュレーションではマシンに搭載されるエンジンが1000ccから850ccへと排気量が小さくなり、エアロダイナミクスへの規制が強まり、ライドハイトデバイスも禁止されることとなった。 この変更はコース上のアクションを改善すると同時に、市販バイクとの関連性を高め、持続可能で費用対効果を高くすることが目標となっている。 しかしエンジンが小さくなることで、プロトタイプ車両で争われるMotoGPマシンが、市販マシンベースで争われるWSBKのマシンよりも遅くなってしまうのではないかという懸念も生じている。 ただシリーズを統括するFIM(国際モーターサイクリズム連盟)は、その懸念が現実のものとなるとは考えていない。FIMのホルヘ・ビエガス会長はスピードをコントロールし、MotoGPが地上最速の二輪シリーズであり続けることを確実にするため、WSBKにも新しいルールを導入することになるだろうと述べた。 「我々としては明らかにMotoGPをトップに据えることを望んでいる。スーパーバイク……それはつまりストックバイクにいくつかの変更を加えたモノという意味だった」 「そして我々は、2年前からスーパーバイクのレギュレーション変更にも取り組み始めている」 「MotoGPとスーパーバイクの距離を保つために、今後近い内にいくつかの事が起こっていくだろう」 「我々は全てのメーカーと話し合っている。スーパーバイクにはMotoGPよりも多くのメーカーが参加しているんだ」 「素晴らしい取り組みも行なわれているし、本質的な解決策へと近づいている」 ではMotoGPとWSBKのパフォーマンスの違いは、今のところどのくらいあるかもチェックしておこう。 以下のリストは現在MotoGPとWSBKの両方を開催している全7サーキットのポールポジション及びレースファステストタイムを比較した表だ。 ここで留意すべきなのは、タイヤの違いだ。MotoGP(ミシュラン)はレースウィークを通じてどのセッションも同じタイヤを使用するが、WSBKでは予選用タイヤが用意されていて、スプリントレース用にも柔らかいタイヤを使えるという違いがある。 いずれもMotoGPの方が速い記録となっているが、フィリップアイランドのようにコンマ数秒しか差がないコースもあれば、アルガルヴェやヘレスのように2秒以上の差が開いているコースもある。 ■フィリップアイランド MotoGP:予選ラップレコード – 1分27秒246 レースラップレコード – 1分28秒108 WSBK:予選ラップレコード – 1分27秒916 レースラップレコード – 1分28秒564 ■バルセロナ MotoGP:予選ラップレコード – 1分38秒639 レースラップレコード – 1分39秒939 WSBK:予選ラップレコード – 1分39秒489 レースラップレコード – 1分40秒955 ■アッセン MotoGP:予選ラップレコード – 1分31秒472 レースラップレコード – 1分32秒500 WSBK:予選ラップレコード – 1分32秒934 レースラップレコード – 1分33秒620 ■アラゴン MotoGP:予選ラップレコード – 1分46秒069 レースラップレコード – 1分48秒089 WSBK:予選ラップレコード – 1分47秒973 レースラップレコード – 1分49秒028 ■アルガルヴェ MotoGP:予選ラップレコード – 1分37秒226 レースラップレコード – 1分38秒872 WSBK:予選ラップレコード – 1分39秒610 レースラップレコード – 1分38秒826 ■ヘレス MotoGP:予選ラップレコード – 1分36秒170 レースラップレコード – 1分37秒449 WSBK:予選ラップレコード – 1分38秒247 レースラップレコード – 1分39秒004
Lewis Duncan