井上弟・拓真がWBC世界バンタム挑戦権獲得。広がる兄弟4団体制覇の夢構想
これにはリングサイドでアドバイスを送り続けた兄の尚弥もノリノリで、「今日は結果がすべて。おめでとうと言いたい。WBCのタイトル戦の拓真の相手は、まだ誰になるかわからないけれど、世界王者になれる力は、もう十分にある。あと一つ勝つだけ。兄弟でバンタム4団体制覇? いいんじゃないですか。井上家で制したら、かっこいい。でも、それには僕がWBSSを優勝しないといけない。ですから2人で、あと4勝です」と決意を語る。 だが、敗れたヤップからは「世界を取るには、まだ力は足りないと思う」と厳しい意見も。 兄の尚弥も、「強さをアピールする面では、まだまだのところもある。作戦通り勝ちに徹するボクシングは徹底できたけれど、見せれるところは、もっとあった。もっと自分で倒しにいくシーンも作れたはず。それを作れば、もっと幅が広がる」と、注文をつけることを忘れていなかった。 父の真吾トレーナーも勝利に徹しすぎた慎重さが気になる点。 「今日の4、5回に流れを作ったようなボクシングをもっと徹底したいね。冷や冷やすることのない荒々しさを出して欲しい。そこから自分のペースに引きずりこむようなボクシングだね」 もちろん、拓真も、さらなる進化の必要性がわかっている。 「あとは経験と課題の克服。不用意なパンチをもらっているんで、そのディフェンス力と集中力」 ヤップにつけこまれたポカは世界戦では命取りになる。 拓真の戦績は12戦全勝(3KO)となった。 兄は兄、弟は弟。 そのボクシング人生同様、泥臭く、そしてひたむきに世界の頂点に立てばいい。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)